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(2)用具

 

① 織機

 

 伝統的織物の産地では、さまざまな織機が使用されている。最も多く使用されているのは高機(長機)で、足踏機、ジャカード織機の使用も多い。

その他として、高機(短機)、高橋織機、力織機レピア、機械織機、綴織機、力織機、半自動織機などが使用されている。織機の調達が問題となっている産地は、小千谷縮、小千谷紬、博多織、久留米絣、久米島紬であり、対象となっている織機は高機がほとんどで、博多織のみが機械織機である。

図表1-18 伝統的織物産地で使用されている織機

種類

件数

構成比

いざり機

3

13.0

高機(長機)

17

73.9

半機

3

13.0

足踏機

7

30.4

ジャカード織機

6

26.1

ドビー機

3

13.0

その他

7

30.4

合計

23

100.0

(出所)平成19年度「伝統的工芸品の生産基盤の取引・流通と 情報収集に関するアンケート調査」


<主な織機>

①高機(たかはた)

日本の手機には主に地機と高機がある。地機は日本古来の織機で、床に腰をおろす姿勢で織るため、織機が比較的コンパクトにできている。これに対し、高機は椅子に座って織るため、複数の綜絖(そうこう)を足の踏み込みによって上げ下げすることにより複雑な織りも可能になった。

 

図表1-19 高機の例

高機の例1高機の例2

(出所)(独)農畜産業振興機構のホームページより

 

②ジャガード織機

 明治期に日本に導入された手動式の機織機(はたおりき)。「ジャガード織機」は、たて糸1本ずつを自由に上下することができるようにした織機で、「複雑な模様」や「大きな模様」の織物ができる。

 紙に穴を開けた「紋紙(もんがみ)」を使い、模様に連動した穴の有無を信号として、経糸を持ち上げる、上げないという指示をして複雑な模様を作り出すもの。最近はコンピューターから紋様データー指示が出されるようになってきた。京都西陣、桐生で多く使用されている。

③足踏機

  足踏機は、英国人ラドクリッフによって考案され、力織機の動力の変りに足で運動をおこすように設計されたもので、足踏により機械全部を動かして、織物を織っていくように作られた織機である。旧来のバッタンよりも極めて簡単に操作ができ、性能もすぐれているので現在の手織織機として数多く使用されている。

 

図表1-20 ジャカード織機の例(桐生織)

ジャカード織機の例 


図表1-21 足踏機の例

足踏機の例

 

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② 筬(おさ)

 

織物を織るときに経糸(たていと)を通す櫛状のもの。英語でリード(reed)という。竹や金属でできた筬羽が櫛の歯のように一定間隔に並べられ、両端が固定されたものである。織物を織るために筬が織機に取り付けられている状態では、筬羽と筬羽の間に経糸が通されている。筬が前に動くことによって筬羽が緯糸を既に布となっている側へと強く押し付ける。そうして緯糸は固く締め付けられて新しく布が増す(織られる)ことになる。手織でも現在、主に金筬が主流となっているが、伝統的な手織においては竹筬へのこだわりがあり、調達上の問題が生じている。

竹筬の調達が問題となっている産地は、結城紬、本場大島紬、宮古上布、読谷山花織、読谷山ミンサー、琉球絣、与那国織、八重山ミンサー、八重山上布等で、特に沖縄の産地において大きな問題となっている。

 

図表1-22 ステンレス製筬

ステンレス製筬

現在使われている筬。平織用、朱子織用など、織機により筬密度が違う。
(柳沢ウ-ベンラベル(株)より)

 

図表1-23 竹筬

竹筬

竹筬研究会会員による竹筬の試作品(上)と、奄美大島で使用されていた日本竹筬工業の竹筬(下)

 

<竹筬の技術>

葦から始まったという筬は、永らく竹製のものが主力であった。竹筬の利点は、弾力性があるために経糸の節も多少であれば通るので風合いが出るといわれており、今でも手織の人には愛好されている。筬羽の密度は変更が可能で、羽/寸、羽/cmなどと表示される。

竹筬の製作工程は

1:竹材を目的の厚さまで削る工程

2:削られた竹材をさらに精緻に削り、油を引き、焼くまでを含め竹筬羽に仕上げる工程

3:竹筬羽を組んで竹筬にする工程

の3つに分かれており、各工程が基本的には各職人の分業で行われてきた。

 

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③ 筆(蒔絵用)

 

 伝統的工芸品の産地で、筆を調達上の問題として挙げているのは、山中漆器、金沢漆器、越前漆器、京仏壇・京仏具、京焼・清水焼、博多人形である。京焼・清水焼は陶磁器用、博多人形は人形用の筆であり、他の産地に共通して問題となっている筆は蒔絵筆である。

 蒔絵筆は使われる目的によって種類が分かれる。精巧なもの、漆の含みのよいもの、かるい絵を描くためのものなどであるが、漆で描く筆は、いずれも長短の調節が自由にできるようになっている。

獣毛の毛先には"水毛(みずげ)"といって、水に濡れると透けるような先端がある。とても痛みやすい部分で、この水毛が整っていることが筆の条件となっている。

 

図表1-24 蒔絵筆の種類

 

根朱筆(ねじふで)

精密な蒔絵用で、穂先の腰が強く、肉持ちのよい長い線が描ける。穂は、鼠の背毛から選ばれる。脇毛でつくられた脇毛筆もある。

根朱替筆(ねじがわりふで)

蒔絵用であるが、穂先の腰が柔らかい。猫の毛でつくられる。肉持ちのよさはないが、細い線描き用である。

その他の筆

猫のほか、狐、狸、馬、山羊、栗鼠、鼬(いたち)などが使われる。

蒔絵筆の種類

 

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④ 刷毛(漆刷毛)

 

<漆刷毛について>

 漆刷毛は、板の間に人毛が挟まれた長さ6寸の構造をしており、鉛筆のように人毛が最後まで通っている「本通し」、半分まで入っている「半通し」等がある。現在の漆刷毛の構造は、初代泉清吉が1652年に初めて考案したものである。漆刷毛は、毛が摩耗したら、鉛筆のように新規に切り出して使用するため、一本で約20年間使用することができる。

漆刷毛製作には、人間の髪、馬毛の毛と、それを固める糊と漆。そして毛板(けいた)と呼ばれる糊漆で板状に固めた毛を、はさんで密着させる板を材料として使用される。その中で特に重要なものが人毛である。江戸時代より日本人女性の長い毛髪で日本髪を結う時に使うかもじの古いものを用いて製作されてきたが、後年かもじの入手が困難となり、中国から輸入された人毛が使われるようになり、現在は一部の製品を除いて中国産人毛が使用されている。その他、特殊な刷毛として、馬の毛を使用した乾漆刷毛、胴摺刷毛などがある。

 刷毛の価格は、入門用の安価な製品からかもじを使用した最高級の高価な製品があり、最高級のもので5万円~10万円程度である。価格は、近年ほとんど変わっていない(一部の製品は価格が下がっている)。

 

図表1-25 漆刷毛に使用される人毛

入手困難となった「かもじ」   入手困難となった「かもじ」

入手困難となった「かもじ」

現在主に使用されている中国人女性の毛髪

現在主に使用されている中国人女性の毛髪

 

図表1-26 揃えた髪毛を糊漆で固めた毛板

揃えた髪毛を糊漆で固めた毛板

板と毛板とを張り合わせて刷毛が出来上がる

 

図表1-27 かもじを使用した最高級漆刷毛

かもじを使用した最高級漆刷毛

 

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⑤ 簀(す)

 

手漉き和紙は簀桁(すけた)という用具を使ってつくられる。繊細な竹の簾のような簀を、桁にはめて使う。それぞれ作る紙の大きさにあわせて作られている。

簀は国産の真竹を極細の竹ひごに加工し、強じんな絹糸使って編まれており、一定間隔で糸の締まり具合を均一にする。萱(かや)ひごを使った簀もある。絹糸は、簀のために作られたものを業者から購入して使用する。一部の産地の簀では絹糸の代わりにナイロン糸も使用されている。竹ひごは漉く紙の種類によって太さが異なる。

桁は、簀を取り付けるもので、木目のよく通ったひのき材を使い狂いが生じないように、また原料をくみ込んだときに水平になるように、わずかに山形に湾曲させてつくられており、軽くて丈夫、水の中で狂いがないなど独自の製作技術が求められる。簀と桁の製作は、同じ職人が両方を製作する場合が多いが、それぞれ別の職人によって製作される場合もある。

 

図表1-28 簀桁(すけた)
(Awagami Factory提供)

簀桁(すけた)

図表1-29 簀
(森島和紙用具工房提供)

簀

図表1-30 簀の製作風景/桁と金具

簀

 

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