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6-3.今後の課題について

 

(1)対応策の方向(アンケート集計結果)

<供給側事業者>

・供給側事業者が、伝統的工芸品産地にとって今後最も重要な対応策として考えているのは、「産地間が連携し原材料や用具の需要を拡大する」ことである。

・その他、「原材料の生産・流通に対して行政が支援を行う」、「用具の製作に必要な原材料確保に努める」への回答も多い。


図表6-1 供給側事業者、団体へのアンケート結果

①原材料の事業者

カテゴリ

件数

構成比(%)

産地間が連携し原材料需要を拡大する

25

53.2

原材料の代替化に積極的に取り組む

3

6.4

原材料の新規取引先の開拓を積極的に進める

8

17.0

輸入原材料の利用促進を図る

5

10.6

産地の組合等が原材料生産事業に積極的に取り組む

12

25.5

産地の組合等が原材料関連の人材育成に積極的に取り組む

11

23.4

産地が原材料関連企業の育成・強化に取り組む

10

21.3

原材料の生産・流通に対して行政が支援を行う

15

31.9

その他

8

17.0

サンプル数(%ベース)

47

 


②用具の事業者

カテゴリ

件数

構成比(%)

産地間が連携し用具需要を拡大する

12

48.0

用具の代替化に積極的に取り組む

7

28.0

用具の新規取引先の開拓を積極的に進める

8

32.0

輸入用具の利用促進を図る

4

16.0

産地の組合等が用具関連の人材育成に積極的に取り組む

8

32.0

産地が用具関連企業の育成・強化に取り組む

5

20.0

用具の生産・流通に対して行政が支援を行う

8

32.0

用具の製作に必要な原材料確保に努める

11

44.0

サンプル数(%ベース)

25

 

 

<産地>

・生産用具の調達のために、組合が検討または取り組んでいる対応策として最も回答が多かったのは、原材料では「組合による原材料確保・供給事業の拡大・強化」、用具では「用具のリサイクル化」で、組合における当面の最も重要な課題と考えることができる。

・次いで多いのは、共に「取引相手の広域化(地元以外の取引相手を増やす)」である。地域内だけでは対応が難しくなっていることが窺える。


図表6-2 組合における対応策の方向

①原材料

カテゴリ

件数

構成比(%)

組合による原材料確保・供給事業の拡大・強化

8

33.3

取引相手の広域化(地元以外の取引相手を増やす)

6

25.0

地元外の業者との取引に関するルール、制度等の検討

2

8.3

自治体等公的機関と協力・連携した事業の推進

4

16.6

地元取引相手への経済的支援(関連業者等を地域、業界で支える)

2

8.3

その他

9

37.5

サンプル数

24

 


②用具

カテゴリ

件数

構成比(%)

組合による用具確保・供給事業の拡大・強化

5

25.0

取引相手の広域化(地元以外の取引相手を増やす)

6

30.0

地元外の業者との取引に関するルール、制度等の検討

2

10.0

自治体等公的機関と協力・連携した事業の推進

2

10.0

用具のリサイクル化

11

55.0

地元取引相手への経済的支援(関連業者等を地域、業界で支える)

2

10.0

その他

9

45.0

サンプル数

20

 

 


(2)供給側、産地の意見、要望

供給側および産地組合へのアンケート調査よって得られた意見、要望を生産基盤の分野ごとに整理したものを以下に示す。


<原材料>

陶土

<供給側>

・国有林を借りて陶土採掘しているが、毎年貸付料の値上り、同じ鉱区内で次を借りたくてもいろんな線引きで条件が厳しくなっており、規制緩和が必要

・生産者の高齢化により生産者の数が減少し、原材料の確保が困難となって来ると思われるので行政等の支えが必要。

<産地>

・商工業(窯元)であっても、陶土確保のために農地の購入を認めてほしい。

・鉱山の新規開発事業(保安林解除手続き、砂防指定地内作業許可手続き、自然環境保全協定締結等)に関する諸手続きおよび採掘事業への支援

・国・県・町の土木事業における粘土採掘情報を組合等へ提供するシステム

<供給側>

・人材不足を補い若手育成のための経済支援。現状では若い人材を育てる状態にない。

<産地>

・現在竹林の管理ができないため、管理に対しての補助が必要。

・地元生産者や地元製竹業者への後継者確保等のための経済的支援。

・専門調査機関、国内外の供給業者、輪竹加工業者等に関する情報の提供。

麻糸

<供給側>

・産地は、技術を守る事に頑で、外へ向けた宣伝費は得意としない。「地味で、古臭い」等の負のイメージを払拭するようなイメージ戦略の都心部からの発信が必要。

<産地>

・手績みの苧麻糸および原料を購入するための資金援助。糸の績み手に」対する補助金等の援助。

<供給側>

・輸入原材料の価格及び品質の安定化

・日本産の漆は、年々減少。文化財の修理等に、一年間に採取量のほとんどが使用され、伝統工芸品にまで回ってこない。年間に採取できる日本産漆の量の調査が必要。

・外国製製品(主に中国)の販売数を減らし国産品の生産・販売を拡大すべき。このままでは産地が必要なくなる。

<産地>

・漆かき職人の養成

・景気が低迷して、日本産漆の採集者が少なくなっている。今以上に国産漆を使いたい場合やより高級な製品を製作するには、是非必要である。国産率を上げるには、お米のように何らかの保障まで考える必要がある。

 

<用具>

織機

<産地>

・織機、器材具など調達先がなくなりつつあり、組合で対策要望が現実化しているが、利用内容が多種多様で、需要量が少ない。これらをメーカー等へ調達の場合、製造ロット、取引単位の確保量において、リスク問題や財政問題等へ対応できる支援を要望。

・織機製作業者の情報提供

・国・府県の指導により、全国産地が連携し、年間最小ロット5~10台を発注する事による型の廃棄の防止が可能になる。本件は急務である。

<供給側>

・竹筬は織物により(つづれ織・イザリ機・裂き織りなど)必要だが、製作出来る人がいない状況。竹筬は注文でどんな密度でも製作出来なければ意味がない。

<産地>

・共同事業の対策化への要望

・竹筬研究会に充分な支援を行い、立派な竹筬を作れる体制にしてもらいたい。

・竹筬の製造・修理業者の情報及び育成支援

・国・府県・業界連携による「後継者育成」が緊急な課題である。 

・竹筬を使用しなければならない、一部品種が各産地にある。この情報を全国で取りまとめる必要がある。

筆(蒔絵筆)

<産地>

・筆材料の毛を採取する人への経済的支援

・特に入手しにくい筆材料についての技術保存や伝承についての支援を要望する。

・原材料の確保(鼠の毛)を国や行政レベルでお願いしたい。

刷毛(漆刷毛)

<供給側>

・産地は自らの技術を磨き、環境の変化にも遅れないよう不断の努力をすること。

<産地>

・刷毛職人の養成

・漆器は刷毛塗りだけにするべきである。刷毛塗りをする人と刷毛屋が十分残れる。

<産地>

・維持・管理のための助成金等による支援。

・伝統工芸である和紙を製造していくためには、道具としての「簀」が必要不可欠である。それの確保のためにも、国・行政等が率先してその必要性をPRし、簀網職人を育成する機関を設けてほしい。(簀がなければ伝統的な手漉き和紙は造れない。今から対策を講じなければ、いずれ日本から手漉き和紙はなくなる。)

 

(3)今後の生産・供給・調達における課題の検討

調査対象である生産基盤が今後も継続的な生産・供給が行われ、産地における調達が円滑に行われるためには、それぞれの生産基盤がもつ固有の特性を踏まえて、課題を検討する必要がある。

本調査においては、生産基盤の特性を踏まえて、以下のようなカテゴリを設定し、調査・分析結果を踏まえ、今後の課題についてとりまとめを行った。

 


資源枯渇が進んでいる原材料 【対象:陶土】

◆鉱山の新規開拓事業に対する支援

調査への支援、規制緩和、諸手続きの緩和など

◆国・県・市町村等の土木事業と連携した情報収集システム


生産力が弱体化し輸入原材料への依存度が高くなっている原材料 【対象:漆、和紙原料】

◆漆の生産力強化に向けた抜本的対策

地域ぐるみ、関係業界と連携した取り組み、国の支援など

◆和紙原料の生産・加工技術の保存・継承と生産者への経済的支援

◆都市と連携した伝統的な天然原材料(漆、和紙原料)の利用促進策


国産原材料への依存度が高いが生産力が弱体化している原材料 【対象:麻糸、竹】

◆手績み糸技術の保存・継承対策と生産者への経済的支援

◆都市と連携した伝統的な天然原材料(麻糸、竹)の利用促進策

◆地域レベルでの竹林管理システムの構築

◆竹の生産・流通業者に関する情報を提供・交換できるシステム


高度な熟練技術者の数が減少している用具 【対象:筬、蒔絵筆、漆刷毛、簀桁】

◆竹筬、簀桁の製作技術の保存・継承対策と技術者への経済的支援

◆竹筬を必要とする織物情報の一元化

◆用具製作者に関する情報を提供・交換できるシステム


用具、部品の調達が困難となっている用具 【対象:織機、筬】

◆織屋の共同購入等による力織機の生産維持対策

◆同種の手機を使用している産地の連携による手機部品の共用、リサイクル化の促進

◆不足織機部品の開発への支援

◆織機製作業者に関する情報を提供・交換できるシステム


原材料の入手が困難となっている用具 【対象:蒔絵筆、漆刷毛】

◆不足原材料の確保に向けた情報収集対策、関係者の協力

◆代替原材料の開発と利用の促進

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