平成19年度トップページ > 6.調査結果のまとめと課題の検討

6.調査結果のまとめと課題の検討

 

6-1.原材料・ 用具の供給・ 調達の状況と問題点(まとめ)

 

◆伝統的工芸品産業における需要の減少により、それを支える生産基盤関連の業者や人材が今も徐々に減少している。

 

◆生産基盤に関わる人材は、全体的にみて、高齢化と後継者難に直面している。その結果、生産基盤の生産力に影響を与え、調達量の確保が難しくなっている分野も出てきている。

 【例】竹、麻糸、漆、和紙原料など

 

◆元々、伝統的工芸品の生産基盤に関わる産業は、大きな産業ではなかったが、伝統的工芸品産業の需要低下とともに規模が縮小し、現状では生産業者・ 人材が特定できるほどになっているものも少なくない。

 【例】竹筬、手織機、蒔絵筆、漆刷毛、簀桁など

 

◆生産基盤に関わる業者においては、経営基盤が弱体化している企業が多く、兼業などによって生計を立てている企業が少なくない。

 【例】麻糸(生産農家)、和紙原料(生産農家)、漆(精製業者)、蒔絵筆、漆刷毛など

 

◆伝統的工芸品に関わる用具の製作者は、伝統的工芸品産業と一心同体の関係にある。伝統的工芸品産業の需要減少とともに、数が減少し続けている。用具の製作には高度な技術や熟練を求められるものが少なくないことから、一端途絶えると復活が大変である。

 【例】竹筬

 

◆現在は生産基盤の調達において深刻な状況にある産地はないが、需要低迷が長期化したり、現在よりもさらに需要が減退したりした場合、地域の生産基盤を支えていた業者や製作者に大きな打撃を与える可能性がある。



(1)原材料

原材料-1 陶土

品目

まとめ

■資源の状況

・ 使用される原土はほぼ国産。資源的には豊富な資源を有する産地は、瀬戸・ 岐阜等の蛙目・ 木節粘土、天草陶石、花坂陶石等と少ない。

・ 伝統的陶器に使用される原土の埋蔵量は豊富ではないものの、現状では枯渇化に直面していない。

■供給に関わる業者・人材

・ 原土採掘業者(採掘権者)、原土の精製業者、製土業者

■供給の状況

・ 現状では、需要に応じて陶土が供給されている状況にある。

・ 比較的大きな産地では、製土業者等によって窯元に供給されているが、小さな産地では、窯元が採掘から製土までを一貫して行っている。

・ 地方には家内手工業的な事業を行っている小さな粘土鉱山が幾つもあり、採掘量が減少や、採算とれなければすぐ閉山する。

■産地における調達の状況

・ どの産地も需要量を調達している。

■問題点

供給側

・ 新たな資源埋蔵地域の確保が宅地化、土地規制等で困難な状況が生じている。

・ 採掘量の減少等に伴う収益悪化、高齢化と後継者難等により、採掘権者、製土業者が減少。

産地

・ 今後の陶土の調達量に関し減少を懸念

  信楽焼、大谷焼、丹波立杭焼、唐津焼、小代焼、薩摩焼

・ 陶土の調達コストが上昇している

  大堀相馬焼、四日市萬古焼、備前焼

 

 

原材料-2 竹

品目

まとめ

■資源の状況

・ 国内の竹は、放置林が増え、生産竹林が減少傾向にある。

■供給に関わる業者・人材

・ 伐採人、仲買人、製竹業者、輸入原料商

■供給の状況

・ わが国の生産量は減少しており、国産竹の供給量は減少傾向。

・ 生産人材の減少により、供給業者によっては供給力不足が生じている。

■産地における調達の状況

・ 主に地元、産地近くの竹林から調達。筆、扇子等の竹工品以外の分野は国産から輸入竹にシフト。

・ 産地が求める品質の竹材を、充分に確保出来ていない産地が多くある。

■問題点

 

供給側

・ 山元の高齢化により放置竹林が増え、生産竹林の面積が減少。

・ 切り手や仲買人が高齢化し、後継者難から数が減少。

・ 竹材需要の減少により、伐採人や製竹業者が減少、生産・ 供給力が低下。

・ 真竹の主要な需要先は造園・ 建築等の分野であり、伝統的工芸品の需要に対応して生産体制の構築は難しい。

産地

・ 原材料の採取・ 育成人材の不足により原材料の確保が困難となっている

  真竹(駿河竹千筋細工、別府竹細工等)、孟宗竹(駿河竹千筋細工、八女提灯)、各種竹(熊野筆)、淡竹(高山茶筌)

・ 天然資源の枯渇により原材料の入手が困難(房州うちわ、江戸和竿、高山茶筌)

・ 調達コストの増加により原材料の入手が困難(奈良筆)

・ 品質(サイズ、傷、粘り等)の低下(京扇子うちわ)

 

 

原材料-3 麻糸(苧麻糸)

品目

まとめ

■資源の状況

・ 苧麻(からむし)の栽培地は、福島県昭和村、沖縄の宮古島、石垣島等。栽培農家は減少傾向にある。

■供給に関わる業者・人材

・ 栽培農家、苧引きする人、苧績みする人

■供給の状況

・ 昭和村の原麻は、越後上布・ 小千谷縮に供給される他、地元でも消費

・ 沖縄で栽培された苧麻(からむし)は、地元の織物に使用。

・ 苧麻(からむし)の原麻の生産に関しては、供給不足の状況にない。

■産地における調達の状況

・ 手績みの苧麻糸に関しては、手績み手の不足等により細い手績糸の供給力が低下している。

・ ラミー紡績糸に関しては、フィリピン産、マレーシア産、中国産の原麻を輸入、紡績加工して調達している。

■問題点

 

供給側

・ 手績み糸の担い手は全体的に高齢化が進み、後継者育成の立ち後れにより数が減少。細い糸を紡げる中高年熟練者が少なくなっている。

・ 紡績糸に関しては、品質の低下、価格の上昇が問題となっている。

産地

・ 沖縄では細い手績み糸の必要量を確保出来ない状況

  手績みの苧麻糸(宮古上布、八重山上布)

・ 輸入するラミー原麻の品質が低下、コストも上昇

  ラミーの紡績糸(小千谷縮)

 

 

原材料-4 漆

品目

まとめ

■資源の状況

・ 漆生産地は、岩手、茨城、新潟、栃木、福島、青森、岡山、徳島、石川、山形、京都等の府県。

・ 生産組合として漆原木の管理をしているのは、岩手県浄法寺と茨城県大子町。民有の漆原木は絶滅に近い状況

■供給に関わる業者・人材

・ 漆掻き人、集荷業者(仲買人)、漆精製販売業者、輸入原料商

■供給の状況

・ 消費量の99%を中国等の輸入漆に依存、国産は1%程度。国産漆の約60%を岩手県浄法寺が供給

・ 生産地の供給力不足、神社・ 仏閣の修復用途等により国産漆は供給不足の状況

■産地における調達の状況

・ 中国漆の調達により、調達量に関してはほとんど問題が生じていない。

■問題点

 

供給側

・ 中国産漆の輸入に依存し、国内での漆樹の植林や採漆業が衰退

・ 漆掻き専業では生計が成り立たず、漆掻き人の高齢化と後継者難等が進行、生産人材が不足している状況。

・ 中国産漆は、労働者の都市への流出、自然環境保護等による生産者減少等により、価格が上昇、品質も低下

産地

<国産漆>

・ 原材料の採取・ 育成人材の不足により原材料の確保が困難(鎌倉彫、京仏壇仏具、松本家具)

・ 天然資源の枯渇により原材料の入手が困難(金沢仏壇)

<輸入漆>

・ 調達している漆の品質が低下(小田原漆器、山形仏壇、岩谷堂箪笥)

・ コストの上昇(越前漆器)

 

 

原材料-5 和紙原料

品目

まとめ

■資源の状況

・ 国産楮は、東北から九州に至る広範囲な地域で生産、生産の中心地域は高知県と茨城県。高知県は国産楮の40%~45%を生産。

■供給に関わる業者・人材

・ 栽培・ 採取農家、皮はぎする人、原料商(国産和紙原料の販売、和紙原料の輸入)

■供給の状況

・ 楮消費量の70%以上をフィリピン、タイ、中国等の輸入楮に依存。

・ 国産原料は、栽培・ 加工に関わる人の高齢化、減少により生産量は減少傾向。今後生産・ 供給量が増える可能性はほとんどない。

■産地における調達の状況

・ 国産楮の生産量が減少していることから、一部の和紙産地では、調達不足が生じている。

■問題点

 

供給側

・ 楮の採取、皮剥ぎはきつい仕事であるが、年間収入は非常に少ないため、後継者がいない。そのため、楮の採取・ 加工農家は高齢化が進んでいる。

・ 流通に関わる人(原料商)も後継者不足による高齢化が進んでおり、業者数がさらに減少する可能性が高い。

・ 国産楮の生産量減少、価格高騰により、タイ等の輸入楮が増え、和紙の品質が低下(国産楮は、輸入楮と比較して、生産コストが10倍以上)。

産地

・ 和紙産地では国産楮の確保難となっている。

  越前和紙、石州和紙、土佐和紙

・ 輸入楮の増加による和紙原料の品質が低下

  大洲和紙、土佐和紙

 

 

(2)用具

 

用具-1 織機

品目

まとめ

■供給に関わる業者・人材 ・ 原材料

・ 大工、手織機メーカー、機械織機メーカー、機料品店、鉄工所

■供給の状況

・ 織物産地に集積し、織屋を支えていた大工、手織機業者、機良品店、鉄工所などが減少し、多くの産地で部品の供給、メンテナンス体制が弱体化している。

・ 業者向け手織機のメーカーは数社程度に減少した。

■産地における調達の状況

・ 手織機では、製作業者の減少により、部品の調達が厳しくなっており、在庫、リサイクル品による調達でしのぐケースが増えている。

・ 機械織機においては、メーカーによる部品メンテナンスの中止、伝産地向け機種の生産中止などが進行している。

■問題点

 

供給側

<手織機>

・ 伝統的織物産業を支えていた機料品店、機部品製作者、大工、鉄工所などの生産業者、人材が大幅に減少し、地域の生産基盤が弱体化している。

<機械織機>

・ 繊維機械は、需要に応じた機種へと製品転換が行われており、伝産地向けの機種は生産中止が増えている。これら伝産地向け機械織機の生産維持のためには、10台、20台といったロット数の確保が必要。

産地

・ 手織機や部品の調達が困難になっている。

  織機など機材(久米島)、部品全般(久留米絣)、織機(小千谷紬)

・ 機械織機の新規調達や部品調達が困難となっている。既に調達が困難な織機も出てきている。

  博多織、西陣織等

 

 

用具-2 筬

品目

まとめ

■供給に関わる業者・人材 ・ 原材料

・ 竹筬用竹材業者、竹筬羽の製作者、竹筬屋(竹筬羽の組立)

■供給の状況

・ 岐阜が竹筬羽の供給拠点であったが、職人の高齢化による廃業、死亡などにより、竹筬羽製造が出来なくなり、竹筬の生産が途絶えた状況。また、竹筬羽を組み立てる職人も1人だけとなった。

・ 織物関連業者による在庫の販売も行われている。

・ 竹筬研究会のメンバーによる試作品の供給が始まっている。

■産地における調達の状況

・ 産地の組合や組合員が保有する在庫の利用、リサイクル品の利用等によって調達が行われている。

・ 一部の産地では、中国から輸入された竹筬を利用している。

・ 金筬への代替化で対応している産地もある。

■問題点

 

供給側

・ 竹筬羽の製作には、高度の技術と経験が要求され、一人前の職人になるには相当の年月を必要とされるが、現状では製作者に対する生活の保障がない。埋もれた職人の立場に置かれている。

産地

・ 生産用具の調達先(メーカーや道具屋)の減少

・ 代替生産用具が進出し、従来の伝統的な生産用具の入手が困難

・ 生産用具を製作するコストの増加

 

 

用具-3 筆(蒔絵筆)

品目

まとめ

■供給に関わる業者・人材 ・ 原材料

・ ネズミ、タヌキ等の動物を捕獲する人、ネズミの養殖業者、問屋(各種毛皮の集荷、輸入)、蒔絵筆製作者、人工筆メーカー

・ ネズミ、ネコ、タヌキ等の立ち毛、麻糸

■供給の状況

・ 蒔絵筆の製作者は5名程度。主にネコの毛を使用した蒔絵筆が供給されている。極少数であるが、村九商店、久野商店、大野久夫等からネズミを使用した根朱筆も販売されている。また、ぺんてる製の人工蒔絵筆も販売されている。

・ 年間の供給量は、1000本~3000本

■産地における調達の状況

・ 根朱筆に関しては、調達不足の状況にあるが、他の蒔絵筆に関しては、調達に関して特に問題は生じていない。

■問題点

 

供給側

・ ネズミの毛を安定的に確保出来る先がない。

・ 動物を捕獲する人が減っている。

・ 腰の強い筆の製作に欠かせない強い麻糸の入手が困難な状況。

・ 生産本数の減少、高齢化等により蒔絵筆の製作技術が低下。

・ 蒔絵筆の製作だけでは生計をたてるのが難しい。

産地

・ 調達先、製作人材が少なくなっている

  金沢漆器、越前漆器、京仏壇

・ 代替生産用具が進出し、従来の伝統的な生産用具の入手が困難

  山中漆器、

・ 根朱筆は非常に高価である

・ 強さが足りない、毛が抜ける、毛先がそろっていないなど、品質不足の蒔絵筆が昔と比較して多くなっている。

 

 

用具-4 刷毛(漆刷毛)

品目

まとめ

■供給に関わる業者・人材 ・ 原材料

・ 漆刷毛製作者、原毛商

・ 女性の長い毛髪

■供給の状況

・ 35年前には6名の漆刷毛製作者がいたが、閉業等により現在は9世泉清吉氏他1名の合計2名に減少した。2名の漆刷毛製作者により、ほぼ全国の需要に対応して漆刷毛を供給している。

■産地における調達の状況

・ ほとんどの産地において、必要な刷毛は調達されている。

・ 一部の産地に必要な特殊な刷毛(ハケ目用刷毛)については、調達が困難となっている。

■問題点

 

供給側

・ 日本女性の髪の毛は調達できなくなり、中国女性の毛髪が主に使用されている。最近は、中国女性の毛髪も入手困難になりつつある。

・ かもじを使用した高品質の漆刷毛は5年以内に供給出来なくなる可能性が高い。

産地

・ 調達先、製作人材が少なくなっている

  秀衡塗、鎌倉彫、越前漆器、名古屋桐箪笥、浄法寺塗

・ 代替生産用具が進出し、従来の伝統的な生産用具の入手が困難

  山中漆器

・ 組合アンケートでは、「満足できる刷毛は高価、良質の刷毛が少ない、割安な刷毛は当たりはずれがある」等の問題点が指摘されている。

 

 

用具-5 簀

品目

まとめ

■供給に関わる業者・人材 ・ 原材料

・ 簀の製作者、桁の製作者

・ 絹糸の製作者、竹ひごの製作者、金具製作者(鉄工所)

■供給の状況

・ 簀の製作者は10数名、桁の製作者は4名程度

・ 若手の製作者は少ないが、全国の需要に対応できる状況にある。

■産地における調達の状況

・ 一部の産地で簀の調達で支障を生じているが、現状では大部分の産地では、調達上の問題は生じていない。

・ ただし、多くの手すき和紙業者は、将来の簀桁の調達に関し不安を抱いている。

・ 全国手漉和紙用具製作技術保存会(高知県)による活動などにより、技術の保存、供給体制の強化が進められている。

■問題点

 

供給側

・ 和紙製造者の数は、現在も減少しつづけており、これが用具製作者の生計に大きな影響を与え、用具製作者の廃業、後継者難などの問題を起こしている。この減少に歯止めをかけないと、現在の用具製作者が廃業に追い込まれる可能性がある。

産地

・ 調達先、製作人材が少なくなっている

  美濃和紙、越中和紙、越前和紙、大洲和紙

・ 一部の産地において、「廃業等による取引相手の減少により調達上の支障」、「調達している簀の品質低下」等を問題視している。

 

ページ最上段へ

6-2.供給側および産地における対応策の状況

(1)原材料

陶土

<供給側/産地>
・ほとんどの産地において原土の品質変化に直面している。比較的規模の大きな産地では、製土業者、公設機関、組合などが中心となり、他地域の粘土とのブレンドによって品質確保に努めている。
・採掘中の鉱山の資源枯渇が懸念される場合には、組合が中心となり、他の埋蔵候補地域の資源調査を実施し、資源確保に努めている。

<供給側>
・製竹業者の竹本商店では、竹の枝打ち作業の機械化を計画している。
・自然環境保全活動団体・竹林救援協会では、木曽川河川敷の放置荒廃竹林(民有地)を活動拠点として、伐採管理活動の講習と実施作業、竹の資源化取り組み、チップ加工処理、青竹加工品製造等の無償管理活動を行っている。
・鳥取県では、地域による竹林対策への取り組みを促進・支援するため、適正な竹林管理の知識や技術等を習得した地域の竹林整備リーダーの育成を図っている。

麻糸

<供給側>
・昭和村では、からむしの生産維持を図るために、からむし織産業の振興を図っている。その一環として、村民との交流とからむし後継者の育成を目的に、からむし織の技を学ぶ織姫制度を13年前に創設した。
<産地>
・宮古上布では、糸積みの後継者育成のため、市の助成を受け宮古織物事業協同組合が取り組みを行っている他、文化庁の支援を受け苧麻糸積み保存会で糸積みに関する研修を実施。

<供給側>
・岩手県浄法寺では、平成7年に日本うるし掻き保存会を設立し、伝承者の養成事業を実施、今後の対策として「浄法寺漆マイスター制度( 仮称) の創設」を検討している。
<産地>
・国産漆は、供給面と価格面で十分な量を確保することが困難であるため、用途により国産漆を使い分ける、中国産漆をブレンド等の対応を行っている。
・木曽漆器工業協同組合は、平成19年に漆の苗木300本を奈良井川河川敷に植樹。山中漆器では、漆の森づくりに取り組んでいる。

和紙原料

<供給側/産地>
・高知県手すき和紙協同組合では、2008年4月に土佐楮保存会を立ち上げ、文化庁の補助金を使用して、楮の生産・加工農家への支援を行い、生産・加工の保存に取り組む予定である。
・質を落とさずに楮原料の量的確保を実現するために、高知県の原料商は、5年以上前から、南米のパラグアイで生産される楮の流通を進めている。

 

(2)用具

織機

<供給側>
・機料品店による在庫部品の供給等のメンテナンス。
<産地>
・西陣織工業組合が、機良品店と連携し不足織機部品の安定供給を目指した調査、開発事業に取り組んでいる。
・久留米絣協同組合では、地元だけでは調達が出来ない部品もあるため、同じような悩みを抱いている他の産地と交流し、在庫の把握など行いながら部品を融通しあうことも行っている。

<供給側>
・日本竹筬技術保存研究会による竹筬羽製作者の育成と竹筬の復活。実用化レベルの竹筬羽を製作できる後継者候補が4~5名育ちつつある。
<産地>
・西陣織工業組合では、竹筬羽製作の後継者育成と組立て職人との連携による竹筬復活に取り組んでいる。

筆(蒔絵筆)

<供給側/産地>
・輪島漆器蒔絵業組合との共同による根朱筆製作への取り組み。
・同組合とぺんてる社との共同による化学素材による蒔絵筆を開発。

刷毛(漆刷毛)

<供給側>
・漆刷毛師の泉清吉氏は、一般の人が漆工品に関心を持つためには、漆刷毛について少しでも見て知ってもらうことが重要なことと考え、30年前から全国で製作実演や講演を行っている。

<供給側/産地>
・全国手漉和紙用具製作技術保存会(高知県)では、簀桁の後継者育成を行っている。

 

ページ最上段へ

6-3.今後の課題について

 

(1)対応策の方向(アンケート集計結果)

<供給側事業者>

・供給側事業者が、伝統的工芸品産地にとって今後最も重要な対応策として考えているのは、「産地間が連携し原材料や用具の需要を拡大する」ことである。

・その他、「原材料の生産・流通に対して行政が支援を行う」、「用具の製作に必要な原材料確保に努める」への回答も多い。


図表6-1 供給側事業者、団体へのアンケート結果

①原材料の事業者

カテゴリ

件数

構成比(%)

産地間が連携し原材料需要を拡大する

25

53.2

原材料の代替化に積極的に取り組む

3

6.4

原材料の新規取引先の開拓を積極的に進める

8

17.0

輸入原材料の利用促進を図る

5

10.6

産地の組合等が原材料生産事業に積極的に取り組む

12

25.5

産地の組合等が原材料関連の人材育成に積極的に取り組む

11

23.4

産地が原材料関連企業の育成・強化に取り組む

10

21.3

原材料の生産・流通に対して行政が支援を行う

15

31.9

その他

8

17.0

サンプル数(%ベース)

47

 


②用具の事業者

カテゴリ

件数

構成比(%)

産地間が連携し用具需要を拡大する

12

48.0

用具の代替化に積極的に取り組む

7

28.0

用具の新規取引先の開拓を積極的に進める

8

32.0

輸入用具の利用促進を図る

4

16.0

産地の組合等が用具関連の人材育成に積極的に取り組む

8

32.0

産地が用具関連企業の育成・強化に取り組む

5

20.0

用具の生産・流通に対して行政が支援を行う

8

32.0

用具の製作に必要な原材料確保に努める

11

44.0

サンプル数(%ベース)

25

 

 

<産地>

・生産用具の調達のために、組合が検討または取り組んでいる対応策として最も回答が多かったのは、原材料では「組合による原材料確保・供給事業の拡大・強化」、用具では「用具のリサイクル化」で、組合における当面の最も重要な課題と考えることができる。

・次いで多いのは、共に「取引相手の広域化(地元以外の取引相手を増やす)」である。地域内だけでは対応が難しくなっていることが窺える。


図表6-2 組合における対応策の方向

①原材料

カテゴリ

件数

構成比(%)

組合による原材料確保・供給事業の拡大・強化

8

33.3

取引相手の広域化(地元以外の取引相手を増やす)

6

25.0

地元外の業者との取引に関するルール、制度等の検討

2

8.3

自治体等公的機関と協力・連携した事業の推進

4

16.6

地元取引相手への経済的支援(関連業者等を地域、業界で支える)

2

8.3

その他

9

37.5

サンプル数

24

 


②用具

カテゴリ

件数

構成比(%)

組合による用具確保・供給事業の拡大・強化

5

25.0

取引相手の広域化(地元以外の取引相手を増やす)

6

30.0

地元外の業者との取引に関するルール、制度等の検討

2

10.0

自治体等公的機関と協力・連携した事業の推進

2

10.0

用具のリサイクル化

11

55.0

地元取引相手への経済的支援(関連業者等を地域、業界で支える)

2

10.0

その他

9

45.0

サンプル数

20

 

 


(2)供給側、産地の意見、要望

供給側および産地組合へのアンケート調査よって得られた意見、要望を生産基盤の分野ごとに整理したものを以下に示す。


<原材料>

陶土

<供給側>

・国有林を借りて陶土採掘しているが、毎年貸付料の値上り、同じ鉱区内で次を借りたくてもいろんな線引きで条件が厳しくなっており、規制緩和が必要

・生産者の高齢化により生産者の数が減少し、原材料の確保が困難となって来ると思われるので行政等の支えが必要。

<産地>

・商工業(窯元)であっても、陶土確保のために農地の購入を認めてほしい。

・鉱山の新規開発事業(保安林解除手続き、砂防指定地内作業許可手続き、自然環境保全協定締結等)に関する諸手続きおよび採掘事業への支援

・国・県・町の土木事業における粘土採掘情報を組合等へ提供するシステム

<供給側>

・人材不足を補い若手育成のための経済支援。現状では若い人材を育てる状態にない。

<産地>

・現在竹林の管理ができないため、管理に対しての補助が必要。

・地元生産者や地元製竹業者への後継者確保等のための経済的支援。

・専門調査機関、国内外の供給業者、輪竹加工業者等に関する情報の提供。

麻糸

<供給側>

・産地は、技術を守る事に頑で、外へ向けた宣伝費は得意としない。「地味で、古臭い」等の負のイメージを払拭するようなイメージ戦略の都心部からの発信が必要。

<産地>

・手績みの苧麻糸および原料を購入するための資金援助。糸の績み手に」対する補助金等の援助。

<供給側>

・輸入原材料の価格及び品質の安定化

・日本産の漆は、年々減少。文化財の修理等に、一年間に採取量のほとんどが使用され、伝統工芸品にまで回ってこない。年間に採取できる日本産漆の量の調査が必要。

・外国製製品(主に中国)の販売数を減らし国産品の生産・販売を拡大すべき。このままでは産地が必要なくなる。

<産地>

・漆かき職人の養成

・景気が低迷して、日本産漆の採集者が少なくなっている。今以上に国産漆を使いたい場合やより高級な製品を製作するには、是非必要である。国産率を上げるには、お米のように何らかの保障まで考える必要がある。

 

<用具>

織機

<産地>

・織機、器材具など調達先がなくなりつつあり、組合で対策要望が現実化しているが、利用内容が多種多様で、需要量が少ない。これらをメーカー等へ調達の場合、製造ロット、取引単位の確保量において、リスク問題や財政問題等へ対応できる支援を要望。

・織機製作業者の情報提供

・国・府県の指導により、全国産地が連携し、年間最小ロット5~10台を発注する事による型の廃棄の防止が可能になる。本件は急務である。

<供給側>

・竹筬は織物により(つづれ織・イザリ機・裂き織りなど)必要だが、製作出来る人がいない状況。竹筬は注文でどんな密度でも製作出来なければ意味がない。

<産地>

・共同事業の対策化への要望

・竹筬研究会に充分な支援を行い、立派な竹筬を作れる体制にしてもらいたい。

・竹筬の製造・修理業者の情報及び育成支援

・国・府県・業界連携による「後継者育成」が緊急な課題である。 

・竹筬を使用しなければならない、一部品種が各産地にある。この情報を全国で取りまとめる必要がある。

筆(蒔絵筆)

<産地>

・筆材料の毛を採取する人への経済的支援

・特に入手しにくい筆材料についての技術保存や伝承についての支援を要望する。

・原材料の確保(鼠の毛)を国や行政レベルでお願いしたい。

刷毛(漆刷毛)

<供給側>

・産地は自らの技術を磨き、環境の変化にも遅れないよう不断の努力をすること。

<産地>

・刷毛職人の養成

・漆器は刷毛塗りだけにするべきである。刷毛塗りをする人と刷毛屋が十分残れる。

<産地>

・維持・管理のための助成金等による支援。

・伝統工芸である和紙を製造していくためには、道具としての「簀」が必要不可欠である。それの確保のためにも、国・行政等が率先してその必要性をPRし、簀網職人を育成する機関を設けてほしい。(簀がなければ伝統的な手漉き和紙は造れない。今から対策を講じなければ、いずれ日本から手漉き和紙はなくなる。)

 

(3)今後の生産・供給・調達における課題の検討

調査対象である生産基盤が今後も継続的な生産・供給が行われ、産地における調達が円滑に行われるためには、それぞれの生産基盤がもつ固有の特性を踏まえて、課題を検討する必要がある。

本調査においては、生産基盤の特性を踏まえて、以下のようなカテゴリを設定し、調査・分析結果を踏まえ、今後の課題についてとりまとめを行った。

 


資源枯渇が進んでいる原材料 【対象:陶土】

◆鉱山の新規開拓事業に対する支援

調査への支援、規制緩和、諸手続きの緩和など

◆国・県・市町村等の土木事業と連携した情報収集システム


生産力が弱体化し輸入原材料への依存度が高くなっている原材料 【対象:漆、和紙原料】

◆漆の生産力強化に向けた抜本的対策

地域ぐるみ、関係業界と連携した取り組み、国の支援など

◆和紙原料の生産・加工技術の保存・継承と生産者への経済的支援

◆都市と連携した伝統的な天然原材料(漆、和紙原料)の利用促進策


国産原材料への依存度が高いが生産力が弱体化している原材料 【対象:麻糸、竹】

◆手績み糸技術の保存・継承対策と生産者への経済的支援

◆都市と連携した伝統的な天然原材料(麻糸、竹)の利用促進策

◆地域レベルでの竹林管理システムの構築

◆竹の生産・流通業者に関する情報を提供・交換できるシステム


高度な熟練技術者の数が減少している用具 【対象:筬、蒔絵筆、漆刷毛、簀桁】

◆竹筬、簀桁の製作技術の保存・継承対策と技術者への経済的支援

◆竹筬を必要とする織物情報の一元化

◆用具製作者に関する情報を提供・交換できるシステム


用具、部品の調達が困難となっている用具 【対象:織機、筬】

◆織屋の共同購入等による力織機の生産維持対策

◆同種の手機を使用している産地の連携による手機部品の共用、リサイクル化の促進

◆不足織機部品の開発への支援

◆織機製作業者に関する情報を提供・交換できるシステム


原材料の入手が困難となっている用具 【対象:蒔絵筆、漆刷毛】

◆不足原材料の確保に向けた情報収集対策、関係者の協力

◆代替原材料の開発と利用の促進

ページ最上段へ

検索(平成19年度調査内)


目次