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5-3.西陣織-織物生産における不足部品・機器の調達に向けた取り組み

 

(1)取り組みの背景

・ 近年、西陣織を支えてきた用具が姿を消しつつある。1997年には、竹筬の唯一の製作者が亡くなり、京都における竹筬の供給が出来なくなった。また、手織りの織機には欠かせない「杼」の作り手も最後の1名となっている。その背景として、伝統産業の不振に加え、作り手の高齢化や後継者難、材料不足などがある。

 

(2)取り組みの経緯

・ 西陣織工業組合では、伝統的工芸品を支える職人の後継者難解消を目指し、2001年に杼や竹筬を作る実演を2ヶ月間続けた。そして、2003年前後には、西陣織産地が主体となって、他の主な織物産地に対して「不足部品・機器に関するアンケート調査」が実施された。この調査から、特に竹筬は製作人材が全国的にいなくなっている状況から、緊急の問題であることがわかった。

・ このような経緯を経て、2004年から竹細工職人1名を、竹筬研究会が岐阜県瑞穂市で開催している竹筬の研修に派遣することとなった。瑞穂市での研修には約1年間参加した。20063月には、西陣織会館で、習得した竹筬羽の製作技術が披露された。

・ 一方、西陣織工業組合では2004年に、織機部品供給状況の改善や後継者の育成を目指し、「西陣織不足機器開発事業」に取り組んだ。この事業を通しては、供給不足の状況にある竹筬、竹べら、機張、杼、紋彫機の実態を詳細に把握することが出来た。さらに、竹筬の製作人材の育成が急務であることが確認され、竹筬製作の後継者(竹筬羽の製作者)を育てていくことが決定された。

・ 後継者候補(吉川照也氏)を竹筬研究会に派遣し、竹筬羽の技術研修が始まった。その後、竹筬研究会の人材育成の方針は5以上という長いスパンであることから、西陣織工業組合では、文化としてはもとより産業振興を目的に、独自に竹筬製作の人材を育成することとなった。竹筬羽の組立てに必要な道具は、亡くなった京都の名人の道具を入手したが、古いため、使うことが出来なかった。

・ そのため、竹筬羽の組立てを行う唯一の職人である鹿児島県の清永桂子氏に協力を依頼することとなった。清永桂子氏は、岐阜から羽を調達して奄美や沖縄に竹筬を供給していた。

・ 2007年には、鹿児島県の竹筬屋(清永桂子氏)と連携し、竹筬の試作が行われた。また、同年に鹿児島市で開催された伝統的工芸品展を機に、これまで日の目を見ることがなかった職人をたたえるために、清永桂子氏に本場大島紬織物協同組合・本場奄美大島紬協同組合と西陣織工業組合とが特別表彰を行いその功を讃えた。

 

朝日新聞記事より(2008年02月08日)

朝日新聞記事より(2008年02月08日)


(3)今後の方針

・ 竹筬の製作には、竹筬羽の製作者と竹筬羽の組立てを行う筬屋との連携が必要である。そのため、西陣織工業組合では、吉川照也氏と清永桂子氏および奄美の職人(羽の修理の名人)他による連携体制を構築し、竹筬の生産体制づくりに取り組みたい意向である。連携体制の構築は今後の課題となっている。また、竹筬の次の取り組みとして、杼の製作者を始め、あらゆる不足部品の後継者を育てたいとしている。

・ 200811月結城市で開催予定の織物サミットでは、枯渇化が懸念される用具問題をテーマにすることを考えている。


図表5-4 竹筬後継者育成の経緯

2001年

・西陣織会館で、杼や竹筬を作る実演を2ヶ月間実施

2003年

・「不足部品・機器に関するアンケート調査」の実施

2004年
~2006年

・竹筬研究会の岐阜県瑞穂市の研修(月2回ベース)に、竹細工職人の吉川照也氏が参加。約2年間、竹筬羽づくりを修行

2006年3月

・西陣織会館で開催した「伝統工芸・技の探訪」で竹筬羽技術を披露
・西陣織工業組合では、部品供給状況の改善、後継者育成を目指し、中小企業活路開拓調査・実現化事業と京都市の「京の伝統産業・元気応援事業」を活用し、「西陣織不足機器開発事業」を実施。

2007年~

・鹿児島の竹筬組立て職人(清永虎彦商店・清永桂子氏)と連携し竹筬を試作
・清永桂子氏に対し、本場大島紬織物協同組合本場奄美大島紬協同組合と西陣織工業組合が特別表彰。

2008年

・西陣織会館で、吉川照也氏による竹筬羽を作る工程の実演、作成した竹筬の展示などを実施。
・西陣織工業組合では吉川照也氏を4月から職員として雇用する。


図表5-5 西陣織不足機器開発事業において調査・開発の対象となった用具

西陣織不足機器開発事業において調査・開発の対象となった用具

西陣織不足機器開発事業において調査・開発の対象となった用具

 

西陣織工業組合 過去の調査データ

平成16年(2004年)

 

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