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4-2.用具関連事例

 

【織機-1】手織機と部品の調達・利用(久留米絣協同組合)

 

1.織機、部品の供給・調達状況

10年くらい前には、産地には、機を製作する宮大工、金具を製作する鉄工所などが存在していたが、職人の高齢化と後継者難により、ほとんどいなくなっている。その結果、機部品の新規調達が難しくなっており、休業となった織屋の機から部品を取ってくるなどして対応してきた。現状では、手織機の新規購入はほとんど行われていない。

・地元だけでは調達が出来ない部品もあるため、同じような悩みを抱いている他の産地と交流し、在庫の把握など行いながら部品を融通しあうことも行っている。機の部品は、ある程度の量が発生しないと業者は作ってくれないため、調達をスムーズにするためには産地が協力し量を確保することが大事になる。

・地元の機料品店は、織屋からの要望に応じてメーカーから織機を仕入れるというブローカー的な仕事を行っている。

 

図表4-17 手織機部品の供給・調達体制(久留米絣の場合)

手織機部品の供給・調達体制(久留米絣の場合)

 

2.手織機の技術について

・機の寿命は木の材質による。いい杉を使用した機は長く持たせることができる。昔作られた手織機と現在の手織機とを比較すると、宮大工が製作した昔の手織機の方が頑丈に作られている。

 

3.久留米絣の今後について

35年前には、織屋が120軒くらいあったが、現在は35軒に減少している。後継者がいないため、今後はもっと減少する可能性がある。久留米絣は分業で生産されているが、一番大事な「くくり工程」の職人が高齢化し、人数が減少している。

(久留米絣協同組合へのヒアリング調査結果より)

 

久留米絣協同組合 過去の調査データ

平成18年(2006年)

 

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【織機-2】機械織機と部品の調達・利用(博多織工業組合)

 

1.使用している織機

・手織機と自動織機(機械織機)を使用し、帯を主体とした織物製品を製造している。織機の台数は、手織機が約50台、自動織機が約350台~360台である。

・手織機は大島から入手している(昔は地元に製作者がいた)。自動織機は、西陣、丹後等でも使用しているシャットル機で、メーカーは津田駒等である。津田駒の場合、生産している機械は他の製品向けの機械に変わっており、現在使用している機種(帯用のシャットル機)はもう生産していない。

 

2.部品の調達について

・機械部品については、京都の機料品店等から購入しているが、価格は上昇し、言い値で買わざるを得ない状況になっている。余分の織機がある場合には、その部品を使って調達を行っている。現状では、なんとか部品調達を行っている状況にある。

・他の産地でも、このような同じ悩みを持っているため、在庫の把握などを行って融通しあえば、今後10年くらいは調達可能と推測している。

・登録制の時代は、博多織に使用されている自動織機の機種、メーカーが把握されていたが、現在は把握することができない。どのような機種が今後問題になるのかわからない状況にある。

・なくなる機械部品については、メーカーから事前に情報が流される。今後、手に入らなくなる部品が増える可能性があり、横のつながりで補充していくことが大事になる。

(博多織工業組合へのヒアリング調査より)

 

博多織工業組合 過去の調査データ

平成18年(2006年)

平成16年(2004年)

 

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【織機-3】機料品店における手織機と部品の供給(米岡機料店)

 

1.織機関連用具の仕入れ・販売先

・手織り機を造る際に必要不可欠な部品は10種類程度である。

・木製の製品は自分のところで製作できるが、細かい部品の調達が難しくなっている。調達先は、概ね小千谷地域であるが、年々調達できる会社が少なくなっている。

・産地での主な取引先は組合、作家などが6~7割。趣味で機織を行う人との取引は全国各地(約3~4割)で遠くは沖縄の人もいる。販売は同業者の十日町の滝長商店に委託している。

・産地へは真綿の手積機、手織り機(3種類程度の大きさがある)を供給しているが、産地からの要望がほとんどなくなっている。

 

2.用具の仕入・販売における問題

・鉄製の金具部品は、業者が廃業し入手困難となっている。その結果、真綿の手積機が2個の鉄製部品の在庫を残すのみで、ロットで頼むことができない状況が生じている(在庫を抱えられない)。

・小千谷地域で織機を製作する企業は、米岡機料店のみで、後継者がいない状況にある。人手が足りず、機や部品の製作依頼には充分に対応出来ないため、問題が発生することもある(以前、織機部品の修理を大工に修理を依頼したことがあったが、修理した部品で動かなくなり最終的に自分で再修理するということもあった)。

・織機の技術を習得するには20年程かかるため、後継者の育成は簡単ではない。

 

3.今後の産地との取引に関する要望

・塩沢産地では、組合が織物に携わる人に仕事を提供したり、織機を貸し出したりするなどの支援を行っている。小千谷でも組合が中心となり、関係者に対して支援することを要望している。

 

(米岡機料店へのヒアリング調査結果より)

 

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【織機-4】西陣織における機料品供給の状況(駒野)

 

1.西陣における手織機の状況

・織物の生産に必要な機械や用具を作る人が減少している。手織機を作る職人は、現状では数名程度に減少している。ジャカード、綜絖などの装置を作る人も少なくなっている。奄美では括り機を作る人がいなくなり、自転車のタイヤの利用も行われている。

・手機では、現在、その多数にコンピュータジャカードが付いている。耐用年数は10年であるが、20年間稼働しているため、メンテナンスが大変であり、これが今後の問題となる可能性がある(メンテナンス部品の供給やメンテナンスが出来なくなる可能性がある)。

 

2.西陣における力織機の状況

・昭和30年代、40年代には、西陣では11社の織機が稼働していた。

・西陣織は、織りあがるまでには多数の工程を必要とし、これらの工程はほとんどが分業システムによって専門職の人々の手で行われている。この工程が成立しなくなったら続けることが出来なくなる。近年、賃加工の織手が高齢化により減少し、毎年織機が廃棄されており、西陣の織機の台数は減ってきている。このままの状況が続けば、西陣の分業システムは崩壊する可能性がある。

・駒野では、昭和59年には、力織機を年間100台くらい販売していたが、平成5年以降は販売していない。力織機は1回の注文で20台以上を注文すれば金型も残り、部品も作ることができる。力織機の注文量が減少した結果、津田駒では生産できない織機(帯、着尺用のKN型織機)が出てきている。

 

3.ダイレクトジャカードの状況

・西陣織で使用されている力織機の多くには、フロッピーを使用したダイレクトジャカードが導入されている。このダイレクトジャカードに使用されている電子部品、電子材料は生産中止となったものが多く、また、樹脂部品においては金型の老朽化等の問題がある。今後、供給困難となる部品が増えることが予想され、主要部品の調達が出来なくなり、ダイレクトジャカードの製作が出来なくなる可能性が高い。新たな設計をし直したり、開発したりすることは、今後の需要を考えると不可能に近い状況にある。数年後には、ダイレクトジャカードの生産が中止され、保守部品の調達も出来ない状況になっていると推測される。

 

4.機料品店について

・機良品店とは、地元の織物に関するあらゆる知識を持っており、織機のメンテナンスをする商売といえる。全国に機料品店が存在するが、横のつながりはほとんどない。

・駒野は、力織機関連のサポートをする機料品店である。現在、メーカー、鉄工所など50社と取引して織機、関連装置、部品等の仕入れを行っている。仕入れ取引先は減少傾向にあり、50社の中には経営者の老齢化により不安定な会社が20社程度ある。京都以外の産地としては、力織機を使用している博多、丹後などの産地にも対応し、機料品の供給、メンテナンスなどを行っている。

・京都には機料品店が10件ほどあるが、教室・学校向けに商売している機料品店も含まれるため、業界向け織機の商売を行っている機料品店は56軒と推測される。

・奄美では、すでに織機メーカーはなくなり、機料品店が2件残っているが、細々と仕事をしている状況であり、やがていなくなる可能性がある。

(有限会社駒野へのヒアリング調査より)

 

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【筬-1】竹筬の状況と復興に向けた活動(日本竹筬技術保存研究会)


 日本竹筬技術保存研究会(通称:竹筬研究会)は、20037月に文化庁の文化財伝統文化課の近藤都代子さんの助言により設立した団体で、もう一度、竹筬を復興するために活動している。

 

竹筬が製作できなくなった直接の原因は、全国の竹筬屋さんに唯一竹筬羽を供給していた岐阜県穂積町(現:瑞穂市)祖父江の日本竹筬工業(代表・豊田亨さん)が竹筬羽の生産を停止し、会社を解散したためである。そのため、全国の竹筬屋さん、実は竹筬の組み屋さんの全てが生産を停止した。

 

 竹筬羽の工程は、大きく分けて、

 

 ①竹材を目的の厚さまで引く(削る)工程

 ②その引いた厚みの竹材を仕上げ削りし、油を引き、焼を含めた仕上げを行う工程

 ③仕上げされた竹筬羽を組む工程

 

3つに分かれており、各工程が基本的には各職人さんの分業になっていた。この②の仕上げ工程をなさっていた唯一人の職人さんである森助一さんの仕事の停止により、日本竹筬工業の竹筬羽生産が停止し、結果、全国の竹筬屋さんの竹筬製造も停止したため、竹筬は入手できなくなった。

 

 竹筬研究会は、この森助一さんの②の仕上げ工程を、日本竹筬工業に残っておられる①の竹を引く工程と③組み工程の職人さんの助言を受け、合わせて①と③の技術も引き継いだ。資金面では芸術文化振興基金の助成金を受けた。

 

 竹筬製作の技術を伝承し、後継者を育成し、もう一度竹筬を復活し、染織をされている方々の要望に応えるべき、月2回の祖父江での会員による研修会を開催している。活動も5年目に入り、現在は自分用の竹筬を製作できる会員が5名となっている。

 

2008年度の目標は、試作竹筬による試織織物展を計画しており、現在、宮古上布、八重山上布、喜如嘉の芭蕉布、志村ふくみさん、郡上紬の方達等の染織家の方々に試織用竹筬を提供しており、すでに試織が終り、織物が拝見できるものもある。最近では、文化庁の近藤さんのアドバイスもあり、久留米絣の松枝さん、小千谷縮・越後上布の試織竹筬も製作中で、一層の竹筬の精度の向上を目指して、会員一同、研修を重ねている。


現在、試作竹筬は、次の3通りの方法で製作している。

 

①合原厚さんによる竹引き・仕上げ・組みまでの全工程をクリヤーして竹筬を製作する方法

②西尾一三さんによる竹引きと仕上げ工程、組み工程は元・筬職人の大橋滋さんによる機械組みをする方法

③今里哲久さんと角浦節子さんによる竹引き工程、仕上げ工程と組み工程は現在金筬業の筬熊リードの小嶋孝幸さんによる方法

 

である。さらに最近は、竹細工の職人・森田英史さんが竹引き工程に参加してくれることとなり、心強く思っている。大橋さんと小嶋さんには古い竹筬の修理と組替えによる再生にも現在は応えてもらっている。

 

 竹筬研究会では、2006年と2007年、沖縄の離島を含めた各織物組合と県の工業技術支援センターで、竹筬の調査と竹筬製作の実技を含めた報告会を開催した。アンケート調査もあわせて実施し、竹筬の需要と価格を含めた要望を得ることができた。それらを出来るだけ多く取り入れ、要望に応えていかなくてはと考えている。ご意見、ご要望をお聞かせ願えれば幸いである。

 

 すでに現在、中国製の竹筬、また日本製の竹筬として「竹筬」が出ていることも認識しており、用途によってはこれらの竹筬で目的を達する場合もあると思われる。しかし、我々竹筬研究会は、出来上がった竹筬で試織していただき、何度かの経過を見て、竹筬の作り手と使い手である染織の方が納得できるレベルの竹筬を提供することが重要で、提供していく体制(生産システムと流通システム)を確立したいと考えている。

 

(日本竹筬技術保存研究会代表 下村輝氏のコメントより)

 

※竹筬研究会の情報は、ホームページ(http://takeosa.blog.shinobi.jp/)と20085月号より発行される[染織インフォα]の偶数月の広告欄に掲載してお知らせする予定となっている。

 

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蒔絵筆-1】蒔絵筆の生産・供給状況(輪島漆器蒔絵業組合)


1.蒔絵筆の製作者

・蒔絵筆の製作者としては、村九商店(村田九郎兵衛)、久野商店(久野稔)、大野久夫、角岡、村田正造など5名程度いる。その他、ぺんてる(株)が輪島漆器蒔絵業組合と共同で人工蒔絵筆を商品化している。久野商店は、陶磁器の上絵付け筆の製作を専業としていたが、30年前に蒔絵筆の製作に取り組んだ。

 

2.最近の蒔絵筆の品質

・最近の蒔絵筆は、昔の筆と比較して、毛とグリップとの間に隙間があり筆の強さが出ないという問題がある。そのため、粘りのある漆を使うことが出来ない。これは、毛を縛る強い天然麻が入手できなくなり、毛を強く縛れなくなっているためである。

 

3.根朱筆の製作状況

・根朱筆の製法に関しては、村九商店がネズミの毛のくせを伸ばすノウハウを有しており、昔は村九商店のみが製作していた。平成14年のNHKの放映後に、蒔絵筆の製作者である大野氏、久野氏から試作品の提供が行われ、その改良に輪島漆器蒔絵業組合が協力を行った。現在は、少量であるが、久野氏、大野氏もネズミの毛を入手して製作を行っている。輪島漆器蒔絵業組合では、久野氏が従来から使用していた根朱筆に近いものを出来るようになったため、組合として取り扱っている。

・根朱筆に使用されるネズミは、ドブネズミとクマネズミである。久野氏の根朱筆では、長良川で少量捕獲できるドブネズミの毛を利用している。11月~1月に取った冬場のネズミの立ち毛を利用する。毛の長い筆を作る場合、10匹のネズミで1本の筆しかできない。大野氏は、研究用に養殖されているドブネズミの毛を入手し利用している。

・根朱筆は高価で、猫毛の筆が2700円程度であるのに対し、3万円以上する。

・蒔絵筆は、水毛がなくなったり、毛の根本に漆が固まったりしたら使えなくなる。寿命は一概には言えないが、月56時間程度使用した場合、4年以上使うことができる。

 

4.ねずみ毛の筆(根朱筆)の良さ

・蒔絵筆は現在、猫の毛を使用した筆が主流であるが、ねずみの毛は猫より一本一本の毛が硬く、描いた後で真っ直ぐになろうとし、毛先がそろってくれる。また、漆を含む量も違う。そのため、1)毛を揃える作業がいらないため作業性が良い、2)粘りのある漆を使って盛り上げた線を描くことができる(立体感のある蒔絵が描ける)、3)一度筆に含ませた漆で長い時間描くことができる、等の利点がある。

・組合では、見本展においてサンプルを置いて根朱筆の普及を進めてきたが、まだ十分な成果を挙げていない。組合では、その理由として、

①長い歳月の間に、代用品として、他の筆に慣れてきた

②根朱筆の良さを知らない。使ったことがない年代層が多くなってきている。

③村九筆と違い他のメーカーの筆に対する不信感

④業界の冷え込みによる購入自粛(価格の問題)

⑤先白筆と、本根朱筆の使い勝っての差

  等があると考えている。

 

5.ネズミの毛の供給者

・ネズミの毛は、動物の毛皮を集荷し販売する問屋を通して筆屋に供給される。問屋は、ネズミを捕獲する人から毛皮としたものを集める。長良川のドブネズミを捕獲する人は、高齢者で、川猟師で仕事のない冬場に仕事をしている。ネズミの捕獲は、県の許可をもらいトラバサミを使用して行う。

 

6.人工筆について

・ぺんてるの人工筆は、ナイロン樹脂製で、平成16年に輪島漆器蒔絵業組合とぺんてる社の協同開発により発売された。現在、これを改良した筆が3種類商品化されている。輪島漆器蒔絵業組合では、従来の蒔絵筆製作技術の保存・継承も重視していることから、これ以上の人工筆の開発には取り組まない方針である。

・人工筆の生産は、1ロット1000本で、少量の個別購入は難しいことから、金粉・金箔業者がPRと販売を行っている。現在、多くの蒔絵師によって使用されている。曲線を描くにはまだ問題があるものの、真っ直ぐな線を描く筆としては十分なレベルに達しているという。

 

村木広幸氏所有の蒔絵筆

村木広幸氏所有の蒔絵筆


(輪島漆器蒔絵業組合村木広幸組合長へのヒアリング調査をもとに作成)

 

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【刷毛-1】漆刷毛の生産・供給状況(九世泉清吉)


1.漆刷毛の製作者

 漆刷毛を製作する漆刷毛師の数は減少を続け、現在は2名のみである。1人は、9世泉清吉氏であり、漆刷毛の製作を専業としている。もう1人の漆刷毛師の詳細は不明であるが、東京で兼業として漆刷毛の製作を行っている。35年前には、関西、新潟、東京等に6名の漆刷毛師がいたが、高齢化、廃業等により減少した。


九世泉清吉

 

2.漆刷毛の需給状況

 漆刷毛は、バブル期の頃と比較して需要は半分程度に減少し、現在の生産量は年間1,000本以内と推測している(泉清吉氏の場合、年間500本程度)。需要先は、広重刷毛店の場合、全体の8割が産地向けで、残りの2割が漆器教室用、手作りの釣り竿、将棋等向けである。

 現在は、産地が要望する漆刷毛をほぼ供給できる状況にあり、供給不足の状況にはないが、かもじを使用した最高級の漆刷毛は、かもじの入手が不可能になったことから、手持ちのかもじが無くなった時点で製作が行われなくなる見込み(34年後)。

 

3.漆刷毛の生産・供給システム

 刷毛に使用される毛髪に関しては、今から156年前頃までは、かもじの収集システムがあったが、需要の減退によって収集システムは完全に崩壊した。今は原料商から中国産人毛を輸入して使用している。

漆刷毛師によって製作された漆刷毛の供給に関しては、以前は、お抱えの問屋(漆問屋)を通して産地の塗り師へ供給されていたが、現在は、問屋の減少(現在はごく少数)等により、漆刷毛師と産地との直接取引が増えている。問屋との取引は50%程度に減少している。

問屋の業態も代わり、最近は洋塗料を扱う問屋がほとんどであり、貸しビル業を営んでいるケースも多い。また、ネット販売が普及し、産地からネットを通して注文が来るようになっている。


図表4-18 漆刷毛の生産・供給システム

漆刷毛の生産・供給システム

 

4.漆刷毛の生産・供給における問題点

 問屋が在庫をもたなくなっている。今から7年前頃(平成12年頃)より、問屋が在庫を持たないようになり、まとめて注文するようなことが無くなった(以前は、5本、10本というまとめ買いであったが、現在は1本単位の注文がほとんどである)。そのため、製作者側が在庫を持たざるを得ない状況になっており、経営上の負担が大きくなっている。

 

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【簀-1】簀桁の生産・供給状況(全国手漉和紙用具製作技術保存会)


1.製作者の状況

 簀の製作者は、静岡県3名(藤波さん夫婦、お嫁さん)、岐阜県3名(伊藤さん、森島さん親子)、福井県2名(尾形さん、辻さん)、鳥取県2名(親子)、高知県3名、愛媛県1名の合計14名程度いる。人材的には心配はない状況にある。

 人材的には、桁の方に問題がある。桁の製作者は、岐阜県1名(庄司さん)、福井県1名(吉田さん、地元に供給)、高知県2名程度である。以前は静岡の藤波さんも桁を製作していたが、現在はあまり製作していない。高知の方は高齢であり、若い人のように仕事を受けることが出来なくなることが予想される。

 

2.簀桁に必要な素材について

 簀編みに使用される生糸の編糸は、岐阜県の森島さんから供給を受けている(福井県では生糸の代わりにナイロン糸を使用しているものが多い)。また、竹ひごは、静岡の竹細工師(大村さん)から供給を受けている。漉桁に使われる金具は、銅棒を加工して作られ、保存会で後継者の育成を図っているが、現状では古い桁から取り外して使用したりすることが多い。

 

3.後継者の育成

全国手漉和紙用具製作技術保存会では、文化庁の助成金により、年間3名を対象に簀桁等製作者育成のための研修を実施している。助成金は、習う人および教える人の人件費、材料費等に使用されている。研修は年間で35日間実施される。保存会では、後継者の育成は、やる気のある人とマンツーマンで育てることが大事であるという考えに立って実施している。

(全国手漉和紙用具製作技術保存会へのヒアリング調査より)

 

※全国手漉和紙用具製作技術保存会

昭和51年に、文化財保存技術保持団体に認定された。現在事務局は高知県手すき和紙協同組合内にある。

 

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