平成19年度トップページ > 4.生産基盤の生産・供給・調達に関する事例調査 > 4-1.原材料関連事例 > 和紙原料(楮、三椏、雁皮) > 楮の生産・供給

【和紙原料-2】楮の生産・供給(高知県手すき和紙協同組合)


1.楮の使用状況

・日本で消費されている楮の70%以上は外国産楮と思われる。国産楮の4045%は高知(土佐楮)で生産されており、他産地へも供給されている。高知以外の産地としては、茨城(那須楮)が知られている。

・高知県でも外国産楮の利用が増えており、機械漉き和紙を含めると消費量の半分以上は外国産楮が使用されている。

 

2.輸入楮について

・これまではタイ楮が輸入楮の主流であったが、最近はタイの業者を通して、カンボジア、ラオスの楮も輸入されるようになってきた。これまで、安い楮を安定的に確保することが出来たが、輸入国はいずれも政情不安定な国であり、今後もこのような状況が続くという保証はない。

・タイ楮は、日本の楮とは特性が大部異なり、油気を多く含んでいるため、紙にした時油の塊が残るなどの問題がある。そのため、日本の苗木を移植したこともあるが、日本の苗木もタイで育つとタイ楮に変わってしまう。

 

3.楮の生産者について

・楮の生産は、40代~50代の人がする仕事としては、収入面で折り合わない商売であり、実態としては、70代の高齢者が行っている。楮の栽培だけではやっていけないため、蒟蒻栽培などと兼業を行って生計を立てている。楮は栽培のものと自生のものとが利用されているが、栽培は草取りする位で手間はあまりかからない。皮剥ぎは栽培農家が行っているが、共同作業で行っている農家もある。

1軒の農家が生産できる楮は、大きい所でも100貫以上生産している所は少なく、2030貫という例もざらにある。生産による収入は、仮に50貫生産したとしても、3万円/10貫×515万円となり、収入は少ない。

 

4.原料商について

・高知県には、原料商が78軒あり、楮専門、三椏専門、輸入専門などに分かれている。原料商は、主に黒皮状態の原料を仕入れ、人を雇って白皮状態とし、紙すき業者に出荷する。原料商は、和紙原料以外に製紙用の薬品なども取り扱っている。個人商売で、高齢化が進んでいる。ここ数年間において、廃業する人が増えており、最終的には23軒になる可能性があるという。

 

5.楮の生産・供給構造

・高知県の土佐楮の場合、生産された楮の大半は、主に原料商を通して他産地(美濃和紙、因州和紙、埼玉小川和紙等)の手漉き業者に供給されている。地元手漉き業者への流通量は少ない。また、農協を通して他産地の手漉き業者に供給される流通経路もある。

・国産楮の生産・供給基地である高知県においても、価格が安い輸入楮が半分以上使用されている。

 

6.今後の楮確保について

・現状では、国産楮の生産は増えることはなく、確実に減るという。若い人が楮の生産・加工に関する仕事をやりたがらないためである。

・高知県手すき和紙協同組合では、2007年秋に、土佐楮の生産・加工の保存を目指し、「土佐楮保存会を立ち上げた。20084月から文化庁の助成金による楮栽培農家への支援を予定している。

・質を落とさずに楮原料の量的確保を実現するためには、国産楮に代替できる楮を開発する必要がある。高知県の原料商では、5年以上前から、南米のパラグアイで生産される楮の流通が進められている。パラグアイは、日本と同じように四季を有し、生産される楮の品質も良く、年1回の収穫で国産楮よりも安く生産することが可能という。

 

図表4-16 国産和紙原料の生産・供給システム(土佐楮の場合)

国産和紙原料の生産・供給システム(土佐楮の場合)

 

(高知県手すき和紙協同組合へのヒアリング調査より)

 

高知県手すき和紙協同組合 過去の調査データ

平成18年(2006年)

平成16年(2004年)

 

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