【和紙原料-1】越前和紙における原料の調達・利用((福井県和紙工業協同組合)
1.和紙原料の使用状況
・越前和紙で使用している原料の80%以上は、中国、フィリピン、タイ等で産出された輸入楮である。国産楮としては、水戸の那須楮、四国(徳島、高知等)の楮を利用している。国産楮は、文化財修復用、ふすま、壁紙、書画用などに利用されている。原料は白皮のきれいなものを購入している。砂粒一つの塵があってもこまるため、購入後に入念な塵取り作業を行っている。
2.国産楮と輸入楮について
・国産楮は、価格が輸入楮の10倍以上する(20倍するものもある)。生産量が少なくなって、10年前頃から必要量を確保することが難しくなっており、現状では何とか必要量を確保しているという状況である。タイ楮を使用した和紙の中には、染料や顔料の乗りが悪いなどの問題があり、和紙の利用者から国産楮に対するニーズがある。
・輸入楮に関しては現在、中国からの輸入が伸びているが、特に問題は生じていない。タイ楮は、安いが、樹脂が多く、質も国産楮と異なる。一時、品質が問題となったが、現在は安い和紙に使用されている。フィリピン産の楮は、福井から苗木を持って行って育てたもので、現地に定着するまでに10年近くを要した。
3.和紙原料の調達における取引
・産地で使用する楮は、輸入原料商や楮生産地の原料商を通し、需要のほぼ100%近くを協同組合が一括購入(共同購入)している。一部、個人が購入しているケースもある。
・原料商は、個人レベルの小さな企業である。見た目ではわからない原料の品質を見分ける力が求められる。高齢化が進んでおり、今取引している人が商売をやめたら、新たな取引先を探す必要がある。
図表4-15 越前和紙における楮の調達

4.和紙原料の今後の確保について
・和紙の需要が減少していることもあり、現状ではぎりぎりの人数で和紙を生産している。国産原料に関してはなんとか確保されている状況にある。和紙の需要が急激に増えた場合には、和紙職人や原料確保面で対応が困難な状況になる可能性がある。
(福井県和紙工業協同組合へのヒアリング調査より)
