平成19年度トップページ > 4.生産基盤の生産・供給・調達に関する事例調査 > 4-1.原材料関連事例 >

【漆-1】漆精製・販売業者による漆の仕入れ・販売(簑輪漆行)

 

1.事業内容

・輸入漆と国産漆の精製・販売、漆工に関わる材料・用具・機械設備の販売等の事業を行っている。

・輸入漆は、中国・ベトナム・タイ・ミャンマー等の外国産漆で、取扱量の95%を占める。

 

2.漆の仕入れと販売について

・輸入漆は、現地の商社を通して輸入している。中国の商社の場合、自由化当時は粗悪品、悪徳業者の乱立による被害等の問題があったが、その後の10年間において淘汰が進み、業者に対する信頼度が大部改善された(まだ、信頼できない部分も残っているが)。

・現在、中国の輸出業者は56社に集約された。現地の商社は、国内の複数の漆生産地と取引して漆を調達している。

・漆の販売先は、職人・作家等の消費者が中心で、取引量の約90%を占める。残りの約10%は組合・塗料店等への業者卸である。工芸品に関わる業者との取引が半分以上を占める。

 

図表4-10 漆精製業者(漆屋)による漆の供給(福井の大手漆屋の場合)

漆精製業者(漆屋)による漆の供給(福井の大手漆屋の場合)

 

3.取引先の開拓

・漆の需要は30年間減り続けており、その結果、漆の販売の価格競争は厳しくなっている。専業は少なく、塗料等の兼業が増えている。

・このような状況下、箕輪漆行では顧客の新規開拓を積極的に行ってきた。全国エリアの全ての漆ユーザーを対象に30年間新規開拓を行い、全ての開拓を行ったという。これからは、開拓した顧客に対する取引量の拡大が中心となっている。

・顧客の新規開拓においては、単なる価格勝負ではなく、品質とノウハウの提供の両方で勝負することを大事にしている。

 

4.中国産漆の状況

・中国産漆は、毎年価格が上昇している。その背景として、人件費の高騰と都市に労働者が流れ生産者不足が生じている、原生林・植林に対する自然保護の動きなどがあるという。中国では今後、これらの問題が大きくなる可能性がある。

(箕輪漆行へのヒアリング調査より)

 

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【漆-2】漆精製・販売業者による漆の仕入れ・販売(東京の漆精製業者)

 

1.販売している漆の種類と取引量

 販売している漆の95%以上は中国産の漆である。その他、少量であるが、国産漆(岩手県浄法寺産漆)も販売。国産漆は、日光東照宮の修復工事が始まった関係で仕入れ量が減少している。

年間の販売量

中国産漆

約3,000kg

国産漆

200kg~300kg

 

図表4-11 漆屋に入荷する荒味漆

国産漆

国産漆


輸入された中国産漆

輸入された中国産漆

 

2.漆の取引関係

 漆の販売は、以前は新潟、北陸地域の業者とも取引を行っていたが、漆の需要が大きく減少したこと、それにより販売競争が厳しくなったこともあり、現在は主に小田原の漆器業者、静岡の神社・仏閣関連の業者と取引を行っている。その他、少量であるが、漆器愛好家などの個人にも小売を行っている。取引先の拡大は難しい状況から、顧客(産地)の新規開拓は特に行っていない。

 中国産漆の仕入れは、以前より付き合いのある原料商社(個人)を通して行っている。中国産漆の輸入では、求める品質の漆を安定的に入手するためには原料商社との信頼関係が必要であり、そのためには漆の目利きができ、中国人の知り合いがいる業者と付き合うことが大事であるという。

 

図表4-12 漆精製業者における取引関係

漆精製業者における取引関係

 

3. 東京における漆屋の状況

 以前は、東京に4050軒の漆屋がいて、東京だけでなく全国の産地と取引を行っていたが、漆の需要減少に伴って業者の数も減少し、現在では藤沢漆商店、藤井漆工芸、渡邊商店の3軒のみである。

(東京の漆精製業者へのヒアリング調査より)

 

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【漆-3】越前漆器における原材料の調達(土直漆器)

 

1.越前漆器について

・越前漆器では長い間、輪島、山中、海南、木曽等の漆器産地の下請を行ってきた(今で言うOEM供給基地の役割を担っていた)。そのため、他の産地よりも多くの職人が働いていた。越前漆器というブランド化が始まったのは30年前位で、多くの職人がいたことがブランド化に貢献した。

・しかし、平成になってから状況が変化し、現在は後継者がいないなどの問題が生じている。特に、木地、下地に関わる職人の確保が一番の問題となっている。これらの職人が一人前になるには5年位の修行が必要とされている。

 

2.漆の調達と使用状況

・塗り用の漆は、地元、名古屋、海南、大阪、京都等、複数の漆屋から調達している。これは、漆屋によって、取り扱っている漆に特徴があるためである。塗り用に購入している漆の95%は中国産の漆である。漆は年を越すと乾かなくなるため、一度に大量仕入れすることはできないため、年間の必要量を仕入れている。

・塗りに使用される漆は、国産漆と輸入漆を混ぜるのにこだわっている職人もいるため、国産漆も使用されている。

・蒔絵用の漆は、蒔絵師が直接購入している。蒔絵に使用する漆は少量であるため、チューブ入りのものを購入している。塗りの漆とは異なり、乾きが速く、強さに優れる国産漆を使用している。

・国産漆と輸入漆の品質に関しては、中国産の上ものであれば、国産の下のものより品質がいいと評価している。価格は、中国産漆が3万円/kgであるのに対し、国産漆は30万円/kgである。

 

図表4-13 産地の漆器製造業者における漆の調達例

産地の漆器製造業者における漆の調達例

 

3.その他の原材料・用具の調達状況

・漆器に使用される木地は、日本一の木地産地である山中(山中漆器)から仕入れている。地元にも木地屋(粗挽き屋)はいるが、高齢化で減少している。昔は地元にも栃等の雑木があったが、伐採して杉を植林したため、現在は地元から漆器用の木材を得ることはできない。

・刷毛は、以前に泉刷毛店から一生使用できる本数を購入している。昔の漆刷毛は硬かったが、今のものは柔らかくなっているという。

・筆は、職人によれば、鼠の毛を使用したいい筆が入手できなくなったという。

(株)土直漆器へのヒアリング調査より)

 

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【漆-4】鎌倉彫における生産基盤の調達(鎌倉彫事業協同組合)

 

1.漆の年間使用量

◇漆の年間使用量は600kg前後

 鎌倉彫における漆の使用量は、塗り師1人当たり89kg程度である。鎌倉彫には職人を含めると塗り師が70名ほどいるため、産地全体の年間使用量は560kg630kgとなる。これらは、中国産の漆であるが、5年前から、国産漆(岩手県浄法寺の漆)の使用を開始した。購入量は2貫目(7.5kg)である。

 

2.漆の調達について

◇主に東京、福井の漆屋から調達

 漆は、組合員(塗り師)それぞれが、東京の漆屋(漆問屋)、営業にくる福井の漆屋などから個別に購入しており、組合は関与していない。取引している漆屋は、簑輪漆行(福井県)、藤井漆工芸(東京都)、播与漆行(東京都)、渡邉商店(東京都)等である。箕輪漆行は、鎌倉で営業活動を行っている。

◇国産漆の使用を開始

 組合としては、国産漆が少しあまり始めているという情報を得て、5年前から岩手県浄法寺から直接、国産漆を購入した。日本産の漆は、中国産と比較して5倍以上の価格であるが、作業性が良いため使う職人が増えており、今後は国産漆の使用が増える可能性があるという。その他、個人レベルでは、茨城県大子町の漆も使用されている。

◇産地としては、漆の調達に関して特に問題は発生していない。

 国産漆に関しては、これまで調達が困難であったが、最近は状況が少し好転している。

 

図表4-14 鎌倉彫における漆の取引関係

鎌倉彫における漆の取引関係

 

3.刷毛の調達について

◇年間調達量は1人当たり1本以下

 漆刷毛は、漆問屋から購入し、広重刷毛店、竹内光輝商店(大阪府)等の刷毛が使用されている。塗り師は、1人で30本程度の刷毛を保有しており、消耗したら刷毛を買い足していく。1人当たりの買い足し需要は1本以下/年間と推測される。産地全体としては、年間数十本程度(あるいはそれ以下)の調達量と推測される。

 

4.産地における課題

◇新規需要の開拓

 鎌倉彫では従来、冠婚葬祭需要や法人需要の占める割合が大きかったが、現在はその需要がほとんど無くなり、需要が減少し、2年前頃より低迷状態が継続している。産地では、これまで、一般消費者向けの市場開拓をほとんど行ってこなかったため、需要を伸ばすためには若い人を対象とする市場開拓が課題となろう。

◇「鎌倉彫」ブランドへの取り組み

 最近、安い鎌倉彫の偽物が出回っており、本物よりも多く流通している。このような状況から、組合では地域ブランドづくりに取り組み、現在、地域団体商標「鎌倉彫」の登録を申請中である。

 

5.その他

◇刃物について

・鎌倉彫伝産組合には現在、4人の彫り専門士がおり、それぞれの専門士が気に入った彫刻刀を使用している。鎌倉彫と取引のある刃物メーカーとしては、光雲(東京都)、宗意(もとい)刃物店(東京都)、左小信等の例がある。彫り専門士は、良い刃物探しを絶えず行っており、見つかれば刃物屋に出かけることも多い。

・刃物は、注文してから出来上がるまでに1月~1月半かかる。

・刃物の場合、刃物に合った砥石を選ぶことが非常に重要であり、調達上は刃物より砥石の方が問題を抱えている。

・彫刻刀は、いろいろな種類の刃物を一緒に使いこなしていけば、20年~30年の寿命がある。

◇桂について

 鎌倉彫では、北海道に豊富にある桂を使用している。昔は樹齢200年といった桂が使用されていたが、現在は80年の桂を切って使用しているため、品質が低下している。

木材は、鎌倉の三和木工、大石製作所、秦野の夢屋等の木地屋から購入している。

 

(鎌倉彫事業協同組合へのヒアリング調査より)

 

鎌倉彫事業協同組合 過去の調査データ

平成18年(2006年)

平成16年(2004年)

 

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