【麻糸-1】昭和村における「からむし」の生産・供給
(福島県昭和村/奥会津昭和村振興公社/昭和村からむし生産技術保存協会)
1.からむしの生産状況
昭和村は、六百有余年のからむし栽培技術を伝承してきた本州唯一の上布用高品質苧麻栽培地で、原麻(糸に加工する前の状態)の生産を行っている。
原麻の生産技術の管理を行っている昭和村からむし生産技術保存協会(国の選定保存技術)によれば、会員となっている農家は45軒あり、生産者の年齢は年々高齢化しており、会員の半数は80歳以上の高齢者という。昭和50年頃は、140アールの栽培畑を有していたが、現在は90アールに減少している。
図表4-5 からむしの生産状況
生産量 |
120kg~150kg/年間 |
栽培農家数 |
45軒 |
栽培面積 |
90アール(2アール/軒) |
2.原麻(からむし)の供給システム
栽培し、原麻に加工された物を生産農家より全て昭和村振興公社が現金買取を行い、その内、最上級の原麻のみ(生産された原麻のうちの15%)が、新潟の越後上布・小千谷縮布技術保存協会に有償至急の形で供給され、千谷縮等に利用されている。残り85%の原麻は、振興公社において昭和村のからむし織(着尺、帯、小物製品)として商品開発を行い、有効利用が進めなければならない状況にある。
図表4-6 昭和村における"からむし原麻"の生産・供給

3.原麻の生産・供給における問題点
◇伝統産業技術の継続と発展
昭和村では、600年続いたからむしの里としての伝統を地域の誇りとし、発展させていきたい考えである。しかしながら、昭和村とは切っても切れない関係にある越後上布・小千谷縮の需要が減退し、からむしの生産量も減少している。栽培農家を維持し、さらに越後上布・小千谷縮向けに良質の原麻を提供するためには、越後上布・小千谷縮の需要を上回る一定量の生産維持が必要であり、在庫として残った原麻を有効利用することが村の重要な課題となっている。
そのため、昭和村では、からむし織産業の育成を進めている。産業育成のためには、手績みや機織りの人材確保が大事な課題となる。昭和村には現在、手績みの人が8名いるが、すべて年金受給者である。過疎高齢化が進むにつれ、からむし織の担い手が年々少なくなっている。そこで村では、村民との交流とからむし後継者の育成を目的に、11ヶ月にわたり、からむし織の技を学ぶ織姫制度を13年前に創設した。1年間、村に住むとからむしの栽培から糸績みから機織まで一貫した技術を村のお年寄りから教えてもらうことができる。織姫制度の設置の後、からむしからできる麻布の保存と活用を図るために、村の予算と国の補助金を活用した「からむし工芸博物館」と「織姫交流館」も設置された。
現在、㈱奥会津昭和村振興公社が中心となり、人材育成、各種イベント(糸づくりやからむし織の体験コースなど)など、からむし織の継承と振興に向けた事業を進めている。しかしながら、村の人材育成事業である織姫制度は、当初は10名程度の織姫希望者を受け入れたものの現在は4名に減少しており、資金力に乏しい地域が、自力で600年の伝統を守り発展させるのは難しい状況にある。
(福島県大沼郡昭和村、(株)奥会津昭和村振興公社、昭和村からむし生産技術保存協会へのヒアリング調査より)
図表4-7 からむし織の里
図表4-8 からむし織製品のいろいろ
(福島県昭和村/奥会津昭和村振興公社/昭和村からむし生産技術保存協会へのヒアリング調査より)
