平成19年度トップページ > 4.生産基盤の生産・供給・調達に関する事例調査 > 4-1.原材料関連事例 > 陶土

4-1.原材料関連事例

 

【陶土-1】益子焼における陶土の生産・供給(益子焼協同組合)

 

1.粘土資源状況

・益子焼では、粘土資源の枯渇が懸念され、平成18年度に実施した生産基盤調査においても原材料調達における問題として「資源枯渇」を挙げていた。

・このような状況から、益子焼協同組合では、20083月にこれまで資源が埋蔵されているのではないかと有望視されていた地区(北郷谷地区)の試掘調査を実施した。その結果、今後、20年~30年間の単位で使用可能な良質な資源が発見された。全量(20年~30年分)の採掘を、4月末日までに終了の予定。

・採掘場所からさらに奥の地区に、新たな粘土資源の埋蔵が有望視されており、組合としては、次世代用の資源として、さらに20年間の資源確保が可能と推測している。

 

2.陶土の生産・供給システム

・益子焼の陶土は、これまで原土協同組合が自組合保有の地区から原土を採掘し、これを益子焼協同組合が調達し、同組合が製土工場において精製・調合を行って陶土の製造を行ってきた。

・新たな粘土資源に関しては、これらのプロセスを益子焼協同組合が一括して実施している。採掘場所は、民有地(個人所有)で、採掘に関しては地主・原土協同組合等との話し合いによる合意のもとで実施された。実際の採掘は、地元建設業者に委託した。

・製造された陶土は、組合員だけでなく、アマチュアの要望にも応えて非組合員にも販売されている。陶土は、地元の原土を主体とし、瀬戸、信楽、その他地域の粘土を少量調合して作られ、現在、34種類の陶土が販売されている。陶土の売上構成は、組合員70%、非組合員30%である。

 

図表4-1 益子焼陶土の生産・供給における取引関係(現在)

益子焼陶土の生産・供給における取引関係(現在)

 

3.陶土の生産状況

・益子焼は、平成8年頃をピークに需要が低迷し、現在はピーク時の半分に生産量が減少している。それに伴って、陶土の生産量も減少傾向にある。現在の陶土生産量は年間約900トンである。

 

4.組合が直面している問題

 

◇製土工場の老朽化

 現在の工場設備は、導入してから50年近くを経ており、老朽化により、故障によるラインの停止、陶土に鉄粉が混じる等の問題が生じている。ロボットの導入も行われている瀬戸などの近代的な製土工場と比較して立ち後れている。組合としては、国の補助金の活用などにより、設備の更新を図りたい考えである。

 

◇周辺地域の建設工事情報の事前把握

 産地近辺の町には、益子焼に適した粘土が埋蔵されている可能性が高い。建設工事によって、使用可能な粘土資源が採掘されるケースがあるが、工事の終了後に知らされたのでは手の打ちようがない。工事の始まる前に、組合にその情報が流れるシステムが地域にあると、粘土資源の有効活用に繋げることが可能となる。

 

◇小さな鉱山からの原土の入手が不安定

 益子焼では、陶磁器用原料の大量生産地である瀬戸や信楽から原土や製土の調達を行う一方、益子焼の味わいなどを出すために陶土や釉薬に混ぜる土(近辺の寺山土、福島の土など)を、小さな鉱山から調達しているが、原土が採れなくなった、採算が合わない等の理由で急に取引が取りやめになることも多い。家内手工業的にやっている小さな鉱山では、大口の取引が無くなるとやめてします場合もある。これまで組合が取引してきた鉱山で、採掘を止めてしまった鉱山は多い。

(益子焼協同組合へのヒアリング調査より)

 

益子焼協同組合 過去の調査データ

平成18年(2006年)

平成16年(2004年)

 

ページ最上段へ

【陶土-2】九谷焼における陶土の生産・供給(石川県九谷焼窯元協同組合)

 

1.資源の状況

・九谷焼に使用される原料は、小松市正蓮寺町地内の花坂鉱山に埋蔵されている陶石を採掘している。陶石鉱山には20軒ほどの地権者がおり、これらの地権者と契約して採掘している。九谷焼窯元協同組合が保有する採掘場もある。埋蔵量は、現在の需要量が継続した場合、花坂山だけで6070年以上の埋蔵量があると推測される。花坂山一帯の地質調査は、15年前に石川県工業試験場が実施した。他の近くの山も同じ鉱脈でつながっているために、まだ多くの陶土資源が埋蔵されている。

 

2.陶石の品質について

・陶石の耐火度、可塑性などの品質は、採掘場所や陶石層の違いにより異なってくる。昔のものほどの品質の陶石を得るのは難しくなっているが、品質の問題は、他の地層の原石を調合した陶土の開発を絶えず行うことによって対応している。花坂陶石は、収縮の問題から型ものに使用する陶土は他の原石を調合して陶土としている。手引きに使用する陶土は花坂陶石を単味で使用しているが、現状では他の原料(硅石、カオリン等)を少量調合して調整することもある。陶土の開発は、石川県工業試験場の九谷焼技術センターが坯土業者との連携で行っており、九谷焼技術センターが果たしている役割は大きい。

 

3.陶土の生産・供給体制

・陶石の採掘は、組合が抱えている専門の人に依頼し、一回の採掘でダンプ2030台分の採掘行っている。採土場に集められた陶石は、地元に3軒ある坯土業者が精製・調合して陶土を製造し、各窯元に提供している。

 

図表4-2 九谷焼陶土の生産・供給における取引関係

九谷焼陶土の生産・供給における取引関係

 

4.今後の生産・供給について

・地域一帯に陶石が埋蔵されているため、供給量については、当面問題はない。しかし、天然資源はいずれ枯渇するものであることから、組合としては、陶石が埋蔵されているといわれている他の山を購入し、将来の資源を確保しておきたい考え。そのためには、相当の資金が必要となる。

・組合としての一番の懸念材料は、坯土製造業者である。九谷焼の需要が減少し、坯土業者がいなくなることが、組合における一番の心配ごとである。

 

(石川県九谷焼窯元協同組合へのヒアリング調査より)

 

ページ最上段へ

【陶土-3】京焼・清水焼における磁器土の生産・供給(日本陶料)

 

1.京焼・清水焼の現状と今後

・京焼・清水焼には、陶器と磁器が含まれる。元々、ロクロによる手作りを主体としており、量産は苦手としている。そのため、単価の高い製品づくりが求められている。

・京焼・清水焼は当初磁器を中心に広まったが、登窯が禁止され電気窯の時代になって、その特徴(温度むらに強い、薄手で軽い、透明感等)が薄れ他産地との差別化が難しくなり生産量が減少した。その結果、現状では生産量の半分以上は陶器である。陶器は、全国の様々な産地から作りやすい原土や陶土を調達して使用し、多様な絵具も利用してオリジナル製品開発を進め、需要を拡大した。しかし、最近は類似製品の増加などで限界を感じるようになっている。

・磁器へのニーズが高まっているが、鋳込みによる安価な製品の普及、洋磁器との厳しい競合、上絵の具の鉛害問題などにより、八方塞の状況にある。そのため、産地では今、京焼・清水焼のオリジナリティをどうするかが、すなわち「伝統+α」をどうするかが重要な課題となっている。αとは他産地がまねの出来ない技術である。その取り組みとして現在、新たな色釉薬を利用した磁器製品の開発などが行われている。

 

2.磁器土の生産状況

・京焼・清水焼に使用される磁器土は、日本陶料が天草陶石を主原料に調合して坯土とし供給している。天草陶石以外では、日本陶料が唯一鉱山を保有し生産している柿谷陶石、全国の産地から調達した長石・粘土などを調合して坯土を製造している。登窯でも焼ける温度差に強いことが特徴である。原料の確保量および品質に関しては、現在特に問題は生じていない。

・天草陶石は、現地で鉱山を保有している共立マテリアルから調達を行っている。長石や粘土は、全国から使いやすいものを、組合などを通して調達している。

・柿谷陶石は、日本陶料が唯一鉱山を保有し生産しているもので、100年以上採掘を行っている。年間採掘量は少量であり、現在のところ資源枯渇の問題はない。柿谷陶石は、陶石層が60度の斜面に沿って埋蔵されているため、掘るのが大変で危険も伴う。以前は4,5人で掘っていたが、高齢化や後継者難で現在は一人に減少している。

 

3.磁器土の供給先

・製造した磁器土は、京都で勉強し全国に散らばっている陶芸家、窯元等に半分以上を供給している。残りは京焼・清水焼産地内の窯元や陶芸家である。

 

(日本陶料へのヒアリング調査より)

 

ページ最上段へ

【陶土-4】瀬戸における陶土の生産・供給状況(愛知県陶磁器工業協同組合:愛陶連)

 

1.瀬戸地区の鉱山の状況

・瀬戸地区には、現在採掘を行っている鉱山が20あり、経営体(採掘権者)の数は10軒である。愛陶連は3つの鉱山を経営している。粘土鉱物の埋蔵量は豊富であり、現状では資源枯渇は問題となっていない。現時点で判明している埋鉱量は約1500万トンである。

・粘土の埋蔵地は、市街地近くの山手にあり、宅地等の土地利用が進展している。今後、他の土地を採掘しようとした場合、いろいろと制限が出てくる可能性がある。

 

図表4-3 瀬戸地区の鉱山の状況
 

 

2.陶土の供給先

・瀬戸地区から採掘される原土は、大別すると蛙目粘土、木節粘土、その他で、これら原土の年間生産量は約12万トンである。これらの原土によって製造された陶土のほとんどは、瀬戸で生産される食器・置物・工業用磁器等の陶磁器製品の製造に使用され、伝統的工芸品に使用される量は僅かである。

・愛陶連では、毎月需要に応じて採掘を行い、組合員である製土業者等に原土の供給を行っている。一部の原土が、組合員の製土業者等を通して、瀬戸の瀬戸染付や赤津焼に供給されている。愛陶連には、原土業者(精製、製土等)が約30組合員いるが、これらの業者による他産地(伝統的工芸品)への供給状況に関しては、愛陶連では把握を行っていない(瀬戸地区の原土と伝統的工芸品との関連性について答えるのは難しい)。

 

3.陶磁器の需要状況と課題

・生活用陶磁器は、引き出物としての需要がほとんどなくなり、割烹や居酒屋用の需要も減っている。需要の減少は、まだ底を打っていない状況にある。瀬戸地区では、原材料の埋蔵問題よりも、需要減による窯元、原土業者の経営への影響を懸念している

 

(愛知県陶磁器工業協同組合へのヒアリング調査より)

 

ページ最上段へ

検索(平成19年度調査内)


目次