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4.生産基盤の生産・供給・調達に関する事例調査


[4-1.原材料関連事例]

陶土

【陶土-1】益子焼における陶土の生産・供給(益子焼協同組合)
【陶土-2】九谷焼における陶土の生産・供給(石川県九谷焼窯元協同組合)
【陶土-3】京焼・清水焼における磁器土の生産・供給(日本陶料)
【陶土-4】瀬戸における陶土の生産・供給状況(愛知県陶磁器工業協同組合:愛陶連)

【竹  -1】別府竹細工における竹材の調達・利用(別府竹製品協同組合/大分県竹工芸・訓練支援センター)
【竹 -2】真竹の製竹業者における生産・供給(竹本商店)
【竹 -3】京扇子に使用される竹の調達(京扇子団扇商工協同組合)

麻糸

【麻糸-1】昭和村における「からむし」の生産・供給(福島県昭和村/奥会津昭和村振興公社/昭和村からむし生産技術保存協会)
【麻糸-2】八重山上布における手績み糸の生産・供給(石垣市織物事業協同組合)
【麻糸-3】小千谷縮における原材料の調達(小千谷織物同業協同組合)

【漆 -1】漆精製・販売業者による漆の仕入れ・販売(箕輪漆行)
【漆 -2】漆精製・販売業者による漆の仕入れ・販売(藤沢漆商店)
【漆 -3】越前漆器における原材料の調達(土直漆器)
【漆 -4】鎌倉彫における生産基盤の調達(鎌倉彫事業協同組合)

和紙原料

【和紙-1】越前和紙における原料の調達・利用((福井県和紙工業協同組合)
【和紙-2】楮の生産・供給(高知県手すき和紙協同組合)

 

[4-2.用具関連事例]

織機

【織機-1】手織機と部品の調達・利用(留米絣協同組合)
【織機-2】機械織機と部品の調達・利用(博多織工業組合)
【織機-3】機料品店における手織機と部品の供給(米岡機料店)
【織機-4】機料品店による機械織機部品のメンテナンス(駒野機料)

【筬 -1】竹筬の状況と復興に向けた活動(日本竹筬技術保存研究会)

【筆 -1】蒔絵筆の生産・供給状況(輪島漆器蒔絵業組合)

刷毛

【刷毛-1】漆刷毛の生産・供給状況(九世泉清吉)

【簀 -1】簀桁の生産・供給状況(全国手漉和紙用具製作技術保存会)

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4-1.原材料関連事例

 

【陶土-1】益子焼における陶土の生産・供給(益子焼協同組合)

 

1.粘土資源状況

・益子焼では、粘土資源の枯渇が懸念され、平成18年度に実施した生産基盤調査においても原材料調達における問題として「資源枯渇」を挙げていた。

・このような状況から、益子焼協同組合では、20083月にこれまで資源が埋蔵されているのではないかと有望視されていた地区(北郷谷地区)の試掘調査を実施した。その結果、今後、20年~30年間の単位で使用可能な良質な資源が発見された。全量(20年~30年分)の採掘を、4月末日までに終了の予定。

・採掘場所からさらに奥の地区に、新たな粘土資源の埋蔵が有望視されており、組合としては、次世代用の資源として、さらに20年間の資源確保が可能と推測している。

 

2.陶土の生産・供給システム

・益子焼の陶土は、これまで原土協同組合が自組合保有の地区から原土を採掘し、これを益子焼協同組合が調達し、同組合が製土工場において精製・調合を行って陶土の製造を行ってきた。

・新たな粘土資源に関しては、これらのプロセスを益子焼協同組合が一括して実施している。採掘場所は、民有地(個人所有)で、採掘に関しては地主・原土協同組合等との話し合いによる合意のもとで実施された。実際の採掘は、地元建設業者に委託した。

・製造された陶土は、組合員だけでなく、アマチュアの要望にも応えて非組合員にも販売されている。陶土は、地元の原土を主体とし、瀬戸、信楽、その他地域の粘土を少量調合して作られ、現在、34種類の陶土が販売されている。陶土の売上構成は、組合員70%、非組合員30%である。

 

図表4-1 益子焼陶土の生産・供給における取引関係(現在)

益子焼陶土の生産・供給における取引関係(現在)

 

3.陶土の生産状況

・益子焼は、平成8年頃をピークに需要が低迷し、現在はピーク時の半分に生産量が減少している。それに伴って、陶土の生産量も減少傾向にある。現在の陶土生産量は年間約900トンである。

 

4.組合が直面している問題

 

◇製土工場の老朽化

 現在の工場設備は、導入してから50年近くを経ており、老朽化により、故障によるラインの停止、陶土に鉄粉が混じる等の問題が生じている。ロボットの導入も行われている瀬戸などの近代的な製土工場と比較して立ち後れている。組合としては、国の補助金の活用などにより、設備の更新を図りたい考えである。

 

◇周辺地域の建設工事情報の事前把握

 産地近辺の町には、益子焼に適した粘土が埋蔵されている可能性が高い。建設工事によって、使用可能な粘土資源が採掘されるケースがあるが、工事の終了後に知らされたのでは手の打ちようがない。工事の始まる前に、組合にその情報が流れるシステムが地域にあると、粘土資源の有効活用に繋げることが可能となる。

 

◇小さな鉱山からの原土の入手が不安定

 益子焼では、陶磁器用原料の大量生産地である瀬戸や信楽から原土や製土の調達を行う一方、益子焼の味わいなどを出すために陶土や釉薬に混ぜる土(近辺の寺山土、福島の土など)を、小さな鉱山から調達しているが、原土が採れなくなった、採算が合わない等の理由で急に取引が取りやめになることも多い。家内手工業的にやっている小さな鉱山では、大口の取引が無くなるとやめてします場合もある。これまで組合が取引してきた鉱山で、採掘を止めてしまった鉱山は多い。

(益子焼協同組合へのヒアリング調査より)

 

益子焼協同組合 過去の調査データ

平成18年(2006年)

平成16年(2004年)

 

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【陶土-2】九谷焼における陶土の生産・供給(石川県九谷焼窯元協同組合)

 

1.資源の状況

・九谷焼に使用される原料は、小松市正蓮寺町地内の花坂鉱山に埋蔵されている陶石を採掘している。陶石鉱山には20軒ほどの地権者がおり、これらの地権者と契約して採掘している。九谷焼窯元協同組合が保有する採掘場もある。埋蔵量は、現在の需要量が継続した場合、花坂山だけで6070年以上の埋蔵量があると推測される。花坂山一帯の地質調査は、15年前に石川県工業試験場が実施した。他の近くの山も同じ鉱脈でつながっているために、まだ多くの陶土資源が埋蔵されている。

 

2.陶石の品質について

・陶石の耐火度、可塑性などの品質は、採掘場所や陶石層の違いにより異なってくる。昔のものほどの品質の陶石を得るのは難しくなっているが、品質の問題は、他の地層の原石を調合した陶土の開発を絶えず行うことによって対応している。花坂陶石は、収縮の問題から型ものに使用する陶土は他の原石を調合して陶土としている。手引きに使用する陶土は花坂陶石を単味で使用しているが、現状では他の原料(硅石、カオリン等)を少量調合して調整することもある。陶土の開発は、石川県工業試験場の九谷焼技術センターが坯土業者との連携で行っており、九谷焼技術センターが果たしている役割は大きい。

 

3.陶土の生産・供給体制

・陶石の採掘は、組合が抱えている専門の人に依頼し、一回の採掘でダンプ2030台分の採掘行っている。採土場に集められた陶石は、地元に3軒ある坯土業者が精製・調合して陶土を製造し、各窯元に提供している。

 

図表4-2 九谷焼陶土の生産・供給における取引関係

九谷焼陶土の生産・供給における取引関係

 

4.今後の生産・供給について

・地域一帯に陶石が埋蔵されているため、供給量については、当面問題はない。しかし、天然資源はいずれ枯渇するものであることから、組合としては、陶石が埋蔵されているといわれている他の山を購入し、将来の資源を確保しておきたい考え。そのためには、相当の資金が必要となる。

・組合としての一番の懸念材料は、坯土製造業者である。九谷焼の需要が減少し、坯土業者がいなくなることが、組合における一番の心配ごとである。

 

(石川県九谷焼窯元協同組合へのヒアリング調査より)

 

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【陶土-3】京焼・清水焼における磁器土の生産・供給(日本陶料)

 

1.京焼・清水焼の現状と今後

・京焼・清水焼には、陶器と磁器が含まれる。元々、ロクロによる手作りを主体としており、量産は苦手としている。そのため、単価の高い製品づくりが求められている。

・京焼・清水焼は当初磁器を中心に広まったが、登窯が禁止され電気窯の時代になって、その特徴(温度むらに強い、薄手で軽い、透明感等)が薄れ他産地との差別化が難しくなり生産量が減少した。その結果、現状では生産量の半分以上は陶器である。陶器は、全国の様々な産地から作りやすい原土や陶土を調達して使用し、多様な絵具も利用してオリジナル製品開発を進め、需要を拡大した。しかし、最近は類似製品の増加などで限界を感じるようになっている。

・磁器へのニーズが高まっているが、鋳込みによる安価な製品の普及、洋磁器との厳しい競合、上絵の具の鉛害問題などにより、八方塞の状況にある。そのため、産地では今、京焼・清水焼のオリジナリティをどうするかが、すなわち「伝統+α」をどうするかが重要な課題となっている。αとは他産地がまねの出来ない技術である。その取り組みとして現在、新たな色釉薬を利用した磁器製品の開発などが行われている。

 

2.磁器土の生産状況

・京焼・清水焼に使用される磁器土は、日本陶料が天草陶石を主原料に調合して坯土とし供給している。天草陶石以外では、日本陶料が唯一鉱山を保有し生産している柿谷陶石、全国の産地から調達した長石・粘土などを調合して坯土を製造している。登窯でも焼ける温度差に強いことが特徴である。原料の確保量および品質に関しては、現在特に問題は生じていない。

・天草陶石は、現地で鉱山を保有している共立マテリアルから調達を行っている。長石や粘土は、全国から使いやすいものを、組合などを通して調達している。

・柿谷陶石は、日本陶料が唯一鉱山を保有し生産しているもので、100年以上採掘を行っている。年間採掘量は少量であり、現在のところ資源枯渇の問題はない。柿谷陶石は、陶石層が60度の斜面に沿って埋蔵されているため、掘るのが大変で危険も伴う。以前は4,5人で掘っていたが、高齢化や後継者難で現在は一人に減少している。

 

3.磁器土の供給先

・製造した磁器土は、京都で勉強し全国に散らばっている陶芸家、窯元等に半分以上を供給している。残りは京焼・清水焼産地内の窯元や陶芸家である。

 

(日本陶料へのヒアリング調査より)

 

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【陶土-4】瀬戸における陶土の生産・供給状況(愛知県陶磁器工業協同組合:愛陶連)

 

1.瀬戸地区の鉱山の状況

・瀬戸地区には、現在採掘を行っている鉱山が20あり、経営体(採掘権者)の数は10軒である。愛陶連は3つの鉱山を経営している。粘土鉱物の埋蔵量は豊富であり、現状では資源枯渇は問題となっていない。現時点で判明している埋鉱量は約1500万トンである。

・粘土の埋蔵地は、市街地近くの山手にあり、宅地等の土地利用が進展している。今後、他の土地を採掘しようとした場合、いろいろと制限が出てくる可能性がある。

 

図表4-3 瀬戸地区の鉱山の状況
 

 

2.陶土の供給先

・瀬戸地区から採掘される原土は、大別すると蛙目粘土、木節粘土、その他で、これら原土の年間生産量は約12万トンである。これらの原土によって製造された陶土のほとんどは、瀬戸で生産される食器・置物・工業用磁器等の陶磁器製品の製造に使用され、伝統的工芸品に使用される量は僅かである。

・愛陶連では、毎月需要に応じて採掘を行い、組合員である製土業者等に原土の供給を行っている。一部の原土が、組合員の製土業者等を通して、瀬戸の瀬戸染付や赤津焼に供給されている。愛陶連には、原土業者(精製、製土等)が約30組合員いるが、これらの業者による他産地(伝統的工芸品)への供給状況に関しては、愛陶連では把握を行っていない(瀬戸地区の原土と伝統的工芸品との関連性について答えるのは難しい)。

 

3.陶磁器の需要状況と課題

・生活用陶磁器は、引き出物としての需要がほとんどなくなり、割烹や居酒屋用の需要も減っている。需要の減少は、まだ底を打っていない状況にある。瀬戸地区では、原材料の埋蔵問題よりも、需要減による窯元、原土業者の経営への影響を懸念している

 

(愛知県陶磁器工業協同組合へのヒアリング調査より)

 

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【竹-1】別府竹細工における竹材の調達・利用

(別府竹製品協同組合/大分県竹工芸・訓練支援センター)

 

1.大分県における竹の生産量

・大分県は竹林資源が豊富で、竹林面積は13.412haで、全国第2位を占める。平成17年における竹材生産量は163千束で、そのうち真竹は141千束を占め、全国第1位の生産量を誇る。近年、生産量は減少傾向にある。真竹は、造園・建築分野、遮断機、海苔の養殖など様々な分野で利用される。

・工芸品分野に最低必要とされる竹材の量は、3000束程度である。

 

2.工芸品用竹の調達状況

・生産量第一位を誇る真竹は編組に適した竹で、別府竹細工の主要材料となっている。使用する竹は、3年生のもので、傷が無く、真っ直ぐなものが求められる。この他、用途に応じて、淡竹、黒竹、ごま竹、女竹なども用いられている。真竹以外は他の産地から調達を行っている。

・竹は、密生化すると、育ちが悪くなる、立ち枯れた竹の影響で傷ができるなどの問題が生じるため、間引きなどの管理をしながら伐竹する必要がある。最近は、山元の高齢化等により管理が行き届かない、伐竹の方法も変わってきている、製竹業者等の供給業者が減少等の問題から、生産量が減少し、悪い竹が入るようになってきている。質の低下(従来よりも竹が柔らかい等)が生じている。

 

3.竹の取引単位

・竹は、1束単位で取引される。高さ1.21.5mの竹の円周を測り、結束する竹の本数が決められている。全日本竹産業連合会の基準では、1束とは、5寸×7本、6寸×6本、7寸×4本、8寸×3本である。

 

4.環境問題

・真竹は、油抜き工程を経て使用される。油抜き作業では屑竹を燃やすため煙が発生する。最近は工場周辺に住宅が増え、近隣から煙公害のクレームが出てきている。

 

※大分県竹工芸・訓練支援センターについて

本センターでは、竹工芸産業の振興や発展を目的に、竹工芸の後継者育成を行う一方、竹材の高度利用・加工技術の研究開発、製品開発等に取り組んでいる。

(別府竹製品協同組合および大分県竹工芸・訓練支援センターへのヒアリング調査より)

 

別府竹製品協同組合 過去の調査データ

平成18年(2006年)

平成16年(2004年)

 

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【竹-2】真竹の製竹業者における生産・供給( ()竹本商店)

 

1.製竹業者における真竹の需給状況

・真竹の生産量は、平成23年頃と比較して5分の1位に減少している。

・真竹で需要があるのは造園用の小径竹で、供給不足の状況にあるため、小径竹を求めて竹林の伐採を行っている。中径(56㎝)、大径(7㎝以上)の竹については、需要に応じて必要量を供給できる状況にある。大分県の真竹は、京都の真竹のように管理されておらず、品質は低下している。

・竹材の出荷先は、主に建築・造園分野であり、伝統的工芸品に供給される竹材の量は非常に少ない。伝統工芸品分野への供給に関しては、地元以外への供給は少なく、栃木や長野に多少供給している程度である。

 

2.真竹の流通について

・竹材は、竹林農家から仲買人が伐竹集荷し、集荷された竹を仕入れている。仕入れた竹材は、油抜き加工、天日乾燥等を行い、需要先に出荷される。現状では、造園用の小径竹は売れるものの、建築等の他の分野は仕入れた竹をはけない状況にある。

・仲買人は、伐竹する人を数名かかえて仕事をしている。伐竹には経験が必要で、熟練者は3つの枝を瞬時に助け打ち枝打ちを行う(上下の枝)。また、伐採した竹は太さを見極めて結束するため、結束にも熟練が必要である。

・竹材の伐採は、エリアを決め、秋から12月頃までに、小径竹~大径竹に至る竹を一気に伐採し、夏場までの需要に応えている。そのため、製竹業者としては、どのような竹がどの程度必要となるか需要の見通しが極めて重要となる。

・製竹業者は経営が苦しく、どの業者もリストラなどを行っている。大きい企業でも従業員は56名で、23人の企業が多い。製竹業者の数は減少し、現状では20社程度である。実際に活動している企業は15程度と推測している。


図表4-4 真竹の流通経路

真竹の流通経路

 

3.伐竹における枝打ち作業の機械化

 伐竹する人の高齢化と後継者難から、10年先は人材確保が困難となる可能性がある。そのため、退職者を想定し、枝打ちの経験がなくても仕事が出来るよう、枝打ち機械の開発に取り組んでいる。

()竹本商店へのヒアリング調査より)

 

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【竹-3】京扇子に使用される竹の調達(京扇子団扇商工協同組合)

 

1.原材料の調達

 扇子に使用される扇骨は、全体の90%を滋賀県安曇川町の滋賀県扇子工業協同組合から、残り10%を地元の扇骨業者から調達している。安曇川町は、竹の扇骨産地として、全国生産量の90%を生産している。扇骨に京都で絵付けされた和紙を貼って、「京扇子」が完成する。

 

2.使用される竹材

使用される竹材は、昔は安曇川沿いの良質の竹材が使用されていたが、生産額が増えるに従い材料が不足し、中国、台湾からの輸入竹材の利用が増え、現在では輸入竹材が7割近くを占める。

京扇子全体としては、現状、中国、台湾の竹材の他、島根県、京都丹波地域の竹材が利用されている。国産の竹材は親骨に使用しているが、中骨は輸入竹に頼っている。中国産の竹材価格は上昇している。また、親骨等に使用される島根の竹材も、減少する一方、品質も低下し悩んでいる状況にある。

 扇骨に利用される竹の種類としては丹波の真竹が最上とされるが、入手難等から孟宗竹も利用されている。なお、中骨に使用される中国産の竹は桂竹で、真竹の一種であるが日本の真竹とは異なる。丹波の竹は、一時期花が咲いて全滅した。

 

<補足>

■桂竹について

昭和40年代から50年代にかけて日本のマダケが一斉に開花・枯死した時、本種の竹材が大量に輸入され、マダケの需要をカバーしたという歴史がある。

■扇骨の製作工程

扇骨の製作工程は非常に複雑な手作業になっており、竹材の裁断から仕上げまでは 大体34工程(親骨18工程、中骨16工程)である。 従って一箇所でまとめて作るのでなく数多くの分業になっている。

 

白干し

扇骨の「白干し」

 

(京扇子団扇商工協同組合へのヒアリング調査より)

 

京扇子団扇商工協同組合 過去の調査データ

平成18年(2006年)

平成16年(2004年)

 

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【麻糸-1】昭和村における「からむし」の生産・供給

(福島県昭和村/奥会津昭和村振興公社/昭和村からむし生産技術保存協会)

 

1.からむしの生産状況

 昭和村は、六百有余年のからむし栽培技術を伝承してきた本州唯一の上布用高品質苧麻栽培地で、原麻(糸に加工する前の状態)の生産を行っている。

 原麻の生産技術の管理を行っている昭和村からむし生産技術保存協会(国の選定保存技術)によれば、会員となっている農家は45軒あり、生産者の年齢は年々高齢化しており、会員の半数は80歳以上の高齢者という。昭和50年頃は、140アールの栽培畑を有していたが、現在は90アールに減少している。

図表4-5 からむしの生産状況


生産量

120kg~150kg/年間

栽培農家数

45軒

栽培面積

90アール(2アール/軒)

 

2.原麻(からむし)の供給システム

栽培し、原麻に加工された物を生産農家より全て昭和村振興公社が現金買取を行い、その内、最上級の原麻のみ(生産された原麻のうちの15%)が、新潟の越後上布・小千谷縮布技術保存協会に有償至急の形で供給され、千谷縮等に利用されている。残り85%の原麻は、振興公社において昭和村のからむし織(着尺、帯、小物製品)として商品開発を行い、有効利用が進めなければならない状況にある。

 

図表4-6 昭和村における"からむし原麻"の生産・供給

昭和村における

 

3.原麻の生産・供給における問題点

 

◇伝統産業技術の継続と発展

 昭和村では、600年続いたからむしの里としての伝統を地域の誇りとし、発展させていきたい考えである。しかしながら、昭和村とは切っても切れない関係にある越後上布・小千谷縮の需要が減退し、からむしの生産量も減少している。栽培農家を維持し、さらに越後上布・小千谷縮向けに良質の原麻を提供するためには、越後上布・小千谷縮の需要を上回る一定量の生産維持が必要であり、在庫として残った原麻を有効利用することが村の重要な課題となっている。

そのため、昭和村では、からむし織産業の育成を進めている。産業育成のためには、手績みや機織りの人材確保が大事な課題となる。昭和村には現在、手績みの人が8名いるが、すべて年金受給者である。過疎高齢化が進むにつれ、からむし織の担い手が年々少なくなっている。そこで村では、村民との交流とからむし後継者の育成を目的に、11ヶ月にわたり、からむし織の技を学ぶ織姫制度を13年前に創設した。1年間、村に住むとからむしの栽培から糸績みから機織まで一貫した技術を村のお年寄りから教えてもらうことができる。織姫制度の設置の後、からむしからできる麻布の保存と活用を図るために、村の予算と国の補助金を活用した「からむし工芸博物館」と「織姫交流館」も設置された。

現在、㈱奥会津昭和村振興公社が中心となり、人材育成、各種イベント(糸づくりやからむし織の体験コースなど)など、からむし織の継承と振興に向けた事業を進めている。しかしながら、村の人材育成事業である織姫制度は、当初は10名程度の織姫希望者を受け入れたものの現在は4名に減少しており、資金力に乏しい地域が、自力で600年の伝統を守り発展させるのは難しい状況にある。

(福島県大沼郡昭和村、(株)奥会津昭和村振興公社、昭和村からむし生産技術保存協会へのヒアリング調査より)

 

図表4-7 からむし織の里
からむし織の里 

図表4-8 からむし織製品のいろいろ
からむし織製品のいろいろ1 からむし織製品のいろいろ2 からむし織製品のいろいろ3 

 

(福島県昭和村/奥会津昭和村振興公社/昭和村からむし生産技術保存協会へのヒアリング調査より)

 

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【麻糸-2】八重山上布における手績み糸の生産・供給(石垣市織物事業協同組合)

 

1.手績み糸の生産

・八重山上布はここ数年、沖縄ブームで生産量も少ないながらも需要があったのが、昨年あたりから呉服業界の市場性が厳しい状態にある。そのため、手績み糸の年間生産量は、平成13-14-15年は130キロ前後だったが、年々減ってきていて現在では100キロ前後である。ただ上布に必要な細い糸は軽いので、一概にキロ数で生産量の評価はできない。

・年間4-5回収穫できる原麻のうち、4-6月に収穫する「うりずんブー」が一番いい原麻で、台風が来る前に収穫される。この時期の原麻を多く収穫して、それで年間糸にすることが望ましい。

・組合では糸を100グラム÷3.75で匁に換算して、27匁に単価をかけて購入している。細い糸は単価が高く、太い糸は安い。

 

2.手績みの担い手の状況

・原麻づくりから糸績みまでを、これまで85-90歳位の高齢者が行っていた。原麻づくりの作業は高齢ではきついので、組合で買取った原麻を提供して糸にしてもらい、それを一斤(600グラム)単位で買い取っている。

・組合で把握している糸績みの担い手は40-50名で、平均80歳くらいである。6070歳以上の方への糸積みの講習は20年前から行っているが、長く続けられる方は少ない。

・組合では糸の生産管理を行うことは難しい現状がある。長年手積み糸作業をしてきた人も高齢になると紡ぐ糸が太くなってしまう。組合としては持ち込まれた糸は購入しているが、上布にできる糸はごく一部で、その他の糸は上布以外の織物や敷物など工夫して使っている。

 

 

3.今後に関して

・石垣市の助成(講師の費用や原材料費)を受けて、糸績みの講習を継続して実施しており、今後も不可欠となっている。組合としては、横糸の糸績みは死守したい考えで、6070歳代の横糸の手績み人材が育ってくれば、縦糸の手績み人材も出てくることを期待している。現在、縦糸はラミーで紡績糸になっている。

(石垣市織物事業協同組合へのヒアリング調査より)

 

石垣市織物事業協同組合 過去の調査データ

平成18年(2006年)

 

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【麻糸-3】小千谷縮における原材料の調達(小千谷織物同業協同組合)

 

1.産地における原材料の実態

・重要無形文化財としての原料は、福島県昭和村から調達している(使用原材料全体の1割程度)。越後上布・小千谷縮布技術保存会では、6000匁の原麻を昭和村から調達し、手績み糸としている。手績み糸の取引価格は1kg20万円である。

・年間10反程度を生産しており、1反につき700800gの苧麻が必要。しかし、糸績みの工程では1日4g~5gしか紡げず、手績み糸づくりだけで1年、1反生産するのに約2年を要する。

・伝統的工芸品に使用する原料(全体の9割)は、フィリピン・マレーシアのラミー原麻に中国産のラミー原麻を加えて調達している。しかし、ここ数年フィリピン、マレーシアの原料の単価が高くなっている。輸入したラミーは、紡績会社に依頼し紡績糸としている。

 

2.産地で調達が問題となっている原材料

・中国で生産しているラミーは、組合独自の品質を保つよう依頼し、年間1トン特別に栽培してもらっている。中国で栽培しているラミーは、品質を保つのが難しく、切れやすいなどの問題がある。

・今後の調達にあたっても、フィリピンやマレーシアの麻の単価が高くなっていることから、中国産の割合を増やさざるを得ず、中国産の麻の質が課題となっている。

 

3.産地側からみた供給先の問題点

・原麻の生産能力については問題がない(昭和村、小千谷地域周辺、フィリピン、マレーシア、中国)

・品質は国産の苧麻の品質は保たれているが、輸入される特に中国産の品質の向上が望まれる。

 

4.課題への対応状況、支援策に対する要望

・手績み(産地)、染め(産地)、織(産地)、撚糸(産地及び周辺地域)、仕上げ(産地)の分業体制に問題があり、人材不足が生じている。人材育成を始めているが、なかなか人が育たない。

 

図表4-9 小千谷縮における紡績糸と手績み糸の流通経路

小千谷縮における紡績糸と手績み糸の流通経路

 

(小千谷織物同業協同組合へのヒアリング調査より)

 

小千谷織物同業協同組合 過去の調査データ

平成18年(2006年)

 

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【漆-1】漆精製・販売業者による漆の仕入れ・販売(簑輪漆行)

 

1.事業内容

・輸入漆と国産漆の精製・販売、漆工に関わる材料・用具・機械設備の販売等の事業を行っている。

・輸入漆は、中国・ベトナム・タイ・ミャンマー等の外国産漆で、取扱量の95%を占める。

 

2.漆の仕入れと販売について

・輸入漆は、現地の商社を通して輸入している。中国の商社の場合、自由化当時は粗悪品、悪徳業者の乱立による被害等の問題があったが、その後の10年間において淘汰が進み、業者に対する信頼度が大部改善された(まだ、信頼できない部分も残っているが)。

・現在、中国の輸出業者は56社に集約された。現地の商社は、国内の複数の漆生産地と取引して漆を調達している。

・漆の販売先は、職人・作家等の消費者が中心で、取引量の約90%を占める。残りの約10%は組合・塗料店等への業者卸である。工芸品に関わる業者との取引が半分以上を占める。

 

図表4-10 漆精製業者(漆屋)による漆の供給(福井の大手漆屋の場合)

漆精製業者(漆屋)による漆の供給(福井の大手漆屋の場合)

 

3.取引先の開拓

・漆の需要は30年間減り続けており、その結果、漆の販売の価格競争は厳しくなっている。専業は少なく、塗料等の兼業が増えている。

・このような状況下、箕輪漆行では顧客の新規開拓を積極的に行ってきた。全国エリアの全ての漆ユーザーを対象に30年間新規開拓を行い、全ての開拓を行ったという。これからは、開拓した顧客に対する取引量の拡大が中心となっている。

・顧客の新規開拓においては、単なる価格勝負ではなく、品質とノウハウの提供の両方で勝負することを大事にしている。

 

4.中国産漆の状況

・中国産漆は、毎年価格が上昇している。その背景として、人件費の高騰と都市に労働者が流れ生産者不足が生じている、原生林・植林に対する自然保護の動きなどがあるという。中国では今後、これらの問題が大きくなる可能性がある。

(箕輪漆行へのヒアリング調査より)

 

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【漆-2】漆精製・販売業者による漆の仕入れ・販売(東京の漆精製業者)

 

1.販売している漆の種類と取引量

 販売している漆の95%以上は中国産の漆である。その他、少量であるが、国産漆(岩手県浄法寺産漆)も販売。国産漆は、日光東照宮の修復工事が始まった関係で仕入れ量が減少している。

年間の販売量

中国産漆

約3,000kg

国産漆

200kg~300kg

 

図表4-11 漆屋に入荷する荒味漆

国産漆

国産漆


輸入された中国産漆

輸入された中国産漆

 

2.漆の取引関係

 漆の販売は、以前は新潟、北陸地域の業者とも取引を行っていたが、漆の需要が大きく減少したこと、それにより販売競争が厳しくなったこともあり、現在は主に小田原の漆器業者、静岡の神社・仏閣関連の業者と取引を行っている。その他、少量であるが、漆器愛好家などの個人にも小売を行っている。取引先の拡大は難しい状況から、顧客(産地)の新規開拓は特に行っていない。

 中国産漆の仕入れは、以前より付き合いのある原料商社(個人)を通して行っている。中国産漆の輸入では、求める品質の漆を安定的に入手するためには原料商社との信頼関係が必要であり、そのためには漆の目利きができ、中国人の知り合いがいる業者と付き合うことが大事であるという。

 

図表4-12 漆精製業者における取引関係

漆精製業者における取引関係

 

3. 東京における漆屋の状況

 以前は、東京に4050軒の漆屋がいて、東京だけでなく全国の産地と取引を行っていたが、漆の需要減少に伴って業者の数も減少し、現在では藤沢漆商店、藤井漆工芸、渡邊商店の3軒のみである。

(東京の漆精製業者へのヒアリング調査より)

 

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【漆-3】越前漆器における原材料の調達(土直漆器)

 

1.越前漆器について

・越前漆器では長い間、輪島、山中、海南、木曽等の漆器産地の下請を行ってきた(今で言うOEM供給基地の役割を担っていた)。そのため、他の産地よりも多くの職人が働いていた。越前漆器というブランド化が始まったのは30年前位で、多くの職人がいたことがブランド化に貢献した。

・しかし、平成になってから状況が変化し、現在は後継者がいないなどの問題が生じている。特に、木地、下地に関わる職人の確保が一番の問題となっている。これらの職人が一人前になるには5年位の修行が必要とされている。

 

2.漆の調達と使用状況

・塗り用の漆は、地元、名古屋、海南、大阪、京都等、複数の漆屋から調達している。これは、漆屋によって、取り扱っている漆に特徴があるためである。塗り用に購入している漆の95%は中国産の漆である。漆は年を越すと乾かなくなるため、一度に大量仕入れすることはできないため、年間の必要量を仕入れている。

・塗りに使用される漆は、国産漆と輸入漆を混ぜるのにこだわっている職人もいるため、国産漆も使用されている。

・蒔絵用の漆は、蒔絵師が直接購入している。蒔絵に使用する漆は少量であるため、チューブ入りのものを購入している。塗りの漆とは異なり、乾きが速く、強さに優れる国産漆を使用している。

・国産漆と輸入漆の品質に関しては、中国産の上ものであれば、国産の下のものより品質がいいと評価している。価格は、中国産漆が3万円/kgであるのに対し、国産漆は30万円/kgである。

 

図表4-13 産地の漆器製造業者における漆の調達例

産地の漆器製造業者における漆の調達例

 

3.その他の原材料・用具の調達状況

・漆器に使用される木地は、日本一の木地産地である山中(山中漆器)から仕入れている。地元にも木地屋(粗挽き屋)はいるが、高齢化で減少している。昔は地元にも栃等の雑木があったが、伐採して杉を植林したため、現在は地元から漆器用の木材を得ることはできない。

・刷毛は、以前に泉刷毛店から一生使用できる本数を購入している。昔の漆刷毛は硬かったが、今のものは柔らかくなっているという。

・筆は、職人によれば、鼠の毛を使用したいい筆が入手できなくなったという。

(株)土直漆器へのヒアリング調査より)

 

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【漆-4】鎌倉彫における生産基盤の調達(鎌倉彫事業協同組合)

 

1.漆の年間使用量

◇漆の年間使用量は600kg前後

 鎌倉彫における漆の使用量は、塗り師1人当たり89kg程度である。鎌倉彫には職人を含めると塗り師が70名ほどいるため、産地全体の年間使用量は560kg630kgとなる。これらは、中国産の漆であるが、5年前から、国産漆(岩手県浄法寺の漆)の使用を開始した。購入量は2貫目(7.5kg)である。

 

2.漆の調達について

◇主に東京、福井の漆屋から調達

 漆は、組合員(塗り師)それぞれが、東京の漆屋(漆問屋)、営業にくる福井の漆屋などから個別に購入しており、組合は関与していない。取引している漆屋は、簑輪漆行(福井県)、藤井漆工芸(東京都)、播与漆行(東京都)、渡邉商店(東京都)等である。箕輪漆行は、鎌倉で営業活動を行っている。

◇国産漆の使用を開始

 組合としては、国産漆が少しあまり始めているという情報を得て、5年前から岩手県浄法寺から直接、国産漆を購入した。日本産の漆は、中国産と比較して5倍以上の価格であるが、作業性が良いため使う職人が増えており、今後は国産漆の使用が増える可能性があるという。その他、個人レベルでは、茨城県大子町の漆も使用されている。

◇産地としては、漆の調達に関して特に問題は発生していない。

 国産漆に関しては、これまで調達が困難であったが、最近は状況が少し好転している。

 

図表4-14 鎌倉彫における漆の取引関係

鎌倉彫における漆の取引関係

 

3.刷毛の調達について

◇年間調達量は1人当たり1本以下

 漆刷毛は、漆問屋から購入し、広重刷毛店、竹内光輝商店(大阪府)等の刷毛が使用されている。塗り師は、1人で30本程度の刷毛を保有しており、消耗したら刷毛を買い足していく。1人当たりの買い足し需要は1本以下/年間と推測される。産地全体としては、年間数十本程度(あるいはそれ以下)の調達量と推測される。

 

4.産地における課題

◇新規需要の開拓

 鎌倉彫では従来、冠婚葬祭需要や法人需要の占める割合が大きかったが、現在はその需要がほとんど無くなり、需要が減少し、2年前頃より低迷状態が継続している。産地では、これまで、一般消費者向けの市場開拓をほとんど行ってこなかったため、需要を伸ばすためには若い人を対象とする市場開拓が課題となろう。

◇「鎌倉彫」ブランドへの取り組み

 最近、安い鎌倉彫の偽物が出回っており、本物よりも多く流通している。このような状況から、組合では地域ブランドづくりに取り組み、現在、地域団体商標「鎌倉彫」の登録を申請中である。

 

5.その他

◇刃物について

・鎌倉彫伝産組合には現在、4人の彫り専門士がおり、それぞれの専門士が気に入った彫刻刀を使用している。鎌倉彫と取引のある刃物メーカーとしては、光雲(東京都)、宗意(もとい)刃物店(東京都)、左小信等の例がある。彫り専門士は、良い刃物探しを絶えず行っており、見つかれば刃物屋に出かけることも多い。

・刃物は、注文してから出来上がるまでに1月~1月半かかる。

・刃物の場合、刃物に合った砥石を選ぶことが非常に重要であり、調達上は刃物より砥石の方が問題を抱えている。

・彫刻刀は、いろいろな種類の刃物を一緒に使いこなしていけば、20年~30年の寿命がある。

◇桂について

 鎌倉彫では、北海道に豊富にある桂を使用している。昔は樹齢200年といった桂が使用されていたが、現在は80年の桂を切って使用しているため、品質が低下している。

木材は、鎌倉の三和木工、大石製作所、秦野の夢屋等の木地屋から購入している。

 

(鎌倉彫事業協同組合へのヒアリング調査より)

 

鎌倉彫事業協同組合 過去の調査データ

平成18年(2006年)

平成16年(2004年)

 

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【和紙原料-1】越前和紙における原料の調達・利用((福井県和紙工業協同組合)


1.和紙原料の使用状況

・越前和紙で使用している原料の80%以上は、中国、フィリピン、タイ等で産出された輸入楮である。国産楮としては、水戸の那須楮、四国(徳島、高知等)の楮を利用している。国産楮は、文化財修復用、ふすま、壁紙、書画用などに利用されている。原料は白皮のきれいなものを購入している。砂粒一つの塵があってもこまるため、購入後に入念な塵取り作業を行っている。

 

2.国産楮と輸入楮について

・国産楮は、価格が輸入楮の10倍以上する(20倍するものもある)。生産量が少なくなって、10年前頃から必要量を確保することが難しくなっており、現状では何とか必要量を確保しているという状況である。タイ楮を使用した和紙の中には、染料や顔料の乗りが悪いなどの問題があり、和紙の利用者から国産楮に対するニーズがある。

・輸入楮に関しては現在、中国からの輸入が伸びているが、特に問題は生じていない。タイ楮は、安いが、樹脂が多く、質も国産楮と異なる。一時、品質が問題となったが、現在は安い和紙に使用されている。フィリピン産の楮は、福井から苗木を持って行って育てたもので、現地に定着するまでに10年近くを要した。

 

3.和紙原料の調達における取引

・産地で使用する楮は、輸入原料商や楮生産地の原料商を通し、需要のほぼ100%近くを協同組合が一括購入(共同購入)している。一部、個人が購入しているケースもある。

・原料商は、個人レベルの小さな企業である。見た目ではわからない原料の品質を見分ける力が求められる。高齢化が進んでおり、今取引している人が商売をやめたら、新たな取引先を探す必要がある。

 

図表4-15 越前和紙における楮の調達

越前和紙における楮の調達

 

4.和紙原料の今後の確保について

和紙の需要が減少していることもあり、現状ではぎりぎりの人数で和紙を生産している。国産原料に関してはなんとか確保されている状況にある。和紙の需要が急激に増えた場合には、和紙職人や原料確保面で対応が困難な状況になる可能性がある。

 

(福井県和紙工業協同組合へのヒアリング調査より)

 

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【和紙原料-2】楮の生産・供給(高知県手すき和紙協同組合)


1.楮の使用状況

・日本で消費されている楮の70%以上は外国産楮と思われる。国産楮の4045%は高知(土佐楮)で生産されており、他産地へも供給されている。高知以外の産地としては、茨城(那須楮)が知られている。

・高知県でも外国産楮の利用が増えており、機械漉き和紙を含めると消費量の半分以上は外国産楮が使用されている。

 

2.輸入楮について

・これまではタイ楮が輸入楮の主流であったが、最近はタイの業者を通して、カンボジア、ラオスの楮も輸入されるようになってきた。これまで、安い楮を安定的に確保することが出来たが、輸入国はいずれも政情不安定な国であり、今後もこのような状況が続くという保証はない。

・タイ楮は、日本の楮とは特性が大部異なり、油気を多く含んでいるため、紙にした時油の塊が残るなどの問題がある。そのため、日本の苗木を移植したこともあるが、日本の苗木もタイで育つとタイ楮に変わってしまう。

 

3.楮の生産者について

・楮の生産は、40代~50代の人がする仕事としては、収入面で折り合わない商売であり、実態としては、70代の高齢者が行っている。楮の栽培だけではやっていけないため、蒟蒻栽培などと兼業を行って生計を立てている。楮は栽培のものと自生のものとが利用されているが、栽培は草取りする位で手間はあまりかからない。皮剥ぎは栽培農家が行っているが、共同作業で行っている農家もある。

1軒の農家が生産できる楮は、大きい所でも100貫以上生産している所は少なく、2030貫という例もざらにある。生産による収入は、仮に50貫生産したとしても、3万円/10貫×515万円となり、収入は少ない。

 

4.原料商について

・高知県には、原料商が78軒あり、楮専門、三椏専門、輸入専門などに分かれている。原料商は、主に黒皮状態の原料を仕入れ、人を雇って白皮状態とし、紙すき業者に出荷する。原料商は、和紙原料以外に製紙用の薬品なども取り扱っている。個人商売で、高齢化が進んでいる。ここ数年間において、廃業する人が増えており、最終的には23軒になる可能性があるという。

 

5.楮の生産・供給構造

・高知県の土佐楮の場合、生産された楮の大半は、主に原料商を通して他産地(美濃和紙、因州和紙、埼玉小川和紙等)の手漉き業者に供給されている。地元手漉き業者への流通量は少ない。また、農協を通して他産地の手漉き業者に供給される流通経路もある。

・国産楮の生産・供給基地である高知県においても、価格が安い輸入楮が半分以上使用されている。

 

6.今後の楮確保について

・現状では、国産楮の生産は増えることはなく、確実に減るという。若い人が楮の生産・加工に関する仕事をやりたがらないためである。

・高知県手すき和紙協同組合では、2007年秋に、土佐楮の生産・加工の保存を目指し、「土佐楮保存会を立ち上げた。20084月から文化庁の助成金による楮栽培農家への支援を予定している。

・質を落とさずに楮原料の量的確保を実現するためには、国産楮に代替できる楮を開発する必要がある。高知県の原料商では、5年以上前から、南米のパラグアイで生産される楮の流通が進められている。パラグアイは、日本と同じように四季を有し、生産される楮の品質も良く、年1回の収穫で国産楮よりも安く生産することが可能という。

 

図表4-16 国産和紙原料の生産・供給システム(土佐楮の場合)

国産和紙原料の生産・供給システム(土佐楮の場合)

 

(高知県手すき和紙協同組合へのヒアリング調査より)

 

高知県手すき和紙協同組合 過去の調査データ

平成18年(2006年)

平成16年(2004年)

 

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4-2.用具関連事例

 

【織機-1】手織機と部品の調達・利用(久留米絣協同組合)

 

1.織機、部品の供給・調達状況

10年くらい前には、産地には、機を製作する宮大工、金具を製作する鉄工所などが存在していたが、職人の高齢化と後継者難により、ほとんどいなくなっている。その結果、機部品の新規調達が難しくなっており、休業となった織屋の機から部品を取ってくるなどして対応してきた。現状では、手織機の新規購入はほとんど行われていない。

・地元だけでは調達が出来ない部品もあるため、同じような悩みを抱いている他の産地と交流し、在庫の把握など行いながら部品を融通しあうことも行っている。機の部品は、ある程度の量が発生しないと業者は作ってくれないため、調達をスムーズにするためには産地が協力し量を確保することが大事になる。

・地元の機料品店は、織屋からの要望に応じてメーカーから織機を仕入れるというブローカー的な仕事を行っている。

 

図表4-17 手織機部品の供給・調達体制(久留米絣の場合)

手織機部品の供給・調達体制(久留米絣の場合)

 

2.手織機の技術について

・機の寿命は木の材質による。いい杉を使用した機は長く持たせることができる。昔作られた手織機と現在の手織機とを比較すると、宮大工が製作した昔の手織機の方が頑丈に作られている。

 

3.久留米絣の今後について

35年前には、織屋が120軒くらいあったが、現在は35軒に減少している。後継者がいないため、今後はもっと減少する可能性がある。久留米絣は分業で生産されているが、一番大事な「くくり工程」の職人が高齢化し、人数が減少している。

(久留米絣協同組合へのヒアリング調査結果より)

 

久留米絣協同組合 過去の調査データ

平成18年(2006年)

 

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【織機-2】機械織機と部品の調達・利用(博多織工業組合)

 

1.使用している織機

・手織機と自動織機(機械織機)を使用し、帯を主体とした織物製品を製造している。織機の台数は、手織機が約50台、自動織機が約350台~360台である。

・手織機は大島から入手している(昔は地元に製作者がいた)。自動織機は、西陣、丹後等でも使用しているシャットル機で、メーカーは津田駒等である。津田駒の場合、生産している機械は他の製品向けの機械に変わっており、現在使用している機種(帯用のシャットル機)はもう生産していない。

 

2.部品の調達について

・機械部品については、京都の機料品店等から購入しているが、価格は上昇し、言い値で買わざるを得ない状況になっている。余分の織機がある場合には、その部品を使って調達を行っている。現状では、なんとか部品調達を行っている状況にある。

・他の産地でも、このような同じ悩みを持っているため、在庫の把握などを行って融通しあえば、今後10年くらいは調達可能と推測している。

・登録制の時代は、博多織に使用されている自動織機の機種、メーカーが把握されていたが、現在は把握することができない。どのような機種が今後問題になるのかわからない状況にある。

・なくなる機械部品については、メーカーから事前に情報が流される。今後、手に入らなくなる部品が増える可能性があり、横のつながりで補充していくことが大事になる。

(博多織工業組合へのヒアリング調査より)

 

博多織工業組合 過去の調査データ

平成18年(2006年)

平成16年(2004年)

 

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【織機-3】機料品店における手織機と部品の供給(米岡機料店)

 

1.織機関連用具の仕入れ・販売先

・手織り機を造る際に必要不可欠な部品は10種類程度である。

・木製の製品は自分のところで製作できるが、細かい部品の調達が難しくなっている。調達先は、概ね小千谷地域であるが、年々調達できる会社が少なくなっている。

・産地での主な取引先は組合、作家などが6~7割。趣味で機織を行う人との取引は全国各地(約3~4割)で遠くは沖縄の人もいる。販売は同業者の十日町の滝長商店に委託している。

・産地へは真綿の手積機、手織り機(3種類程度の大きさがある)を供給しているが、産地からの要望がほとんどなくなっている。

 

2.用具の仕入・販売における問題

・鉄製の金具部品は、業者が廃業し入手困難となっている。その結果、真綿の手積機が2個の鉄製部品の在庫を残すのみで、ロットで頼むことができない状況が生じている(在庫を抱えられない)。

・小千谷地域で織機を製作する企業は、米岡機料店のみで、後継者がいない状況にある。人手が足りず、機や部品の製作依頼には充分に対応出来ないため、問題が発生することもある(以前、織機部品の修理を大工に修理を依頼したことがあったが、修理した部品で動かなくなり最終的に自分で再修理するということもあった)。

・織機の技術を習得するには20年程かかるため、後継者の育成は簡単ではない。

 

3.今後の産地との取引に関する要望

・塩沢産地では、組合が織物に携わる人に仕事を提供したり、織機を貸し出したりするなどの支援を行っている。小千谷でも組合が中心となり、関係者に対して支援することを要望している。

 

(米岡機料店へのヒアリング調査結果より)

 

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【織機-4】西陣織における機料品供給の状況(駒野)

 

1.西陣における手織機の状況

・織物の生産に必要な機械や用具を作る人が減少している。手織機を作る職人は、現状では数名程度に減少している。ジャカード、綜絖などの装置を作る人も少なくなっている。奄美では括り機を作る人がいなくなり、自転車のタイヤの利用も行われている。

・手機では、現在、その多数にコンピュータジャカードが付いている。耐用年数は10年であるが、20年間稼働しているため、メンテナンスが大変であり、これが今後の問題となる可能性がある(メンテナンス部品の供給やメンテナンスが出来なくなる可能性がある)。

 

2.西陣における力織機の状況

・昭和30年代、40年代には、西陣では11社の織機が稼働していた。

・西陣織は、織りあがるまでには多数の工程を必要とし、これらの工程はほとんどが分業システムによって専門職の人々の手で行われている。この工程が成立しなくなったら続けることが出来なくなる。近年、賃加工の織手が高齢化により減少し、毎年織機が廃棄されており、西陣の織機の台数は減ってきている。このままの状況が続けば、西陣の分業システムは崩壊する可能性がある。

・駒野では、昭和59年には、力織機を年間100台くらい販売していたが、平成5年以降は販売していない。力織機は1回の注文で20台以上を注文すれば金型も残り、部品も作ることができる。力織機の注文量が減少した結果、津田駒では生産できない織機(帯、着尺用のKN型織機)が出てきている。

 

3.ダイレクトジャカードの状況

・西陣織で使用されている力織機の多くには、フロッピーを使用したダイレクトジャカードが導入されている。このダイレクトジャカードに使用されている電子部品、電子材料は生産中止となったものが多く、また、樹脂部品においては金型の老朽化等の問題がある。今後、供給困難となる部品が増えることが予想され、主要部品の調達が出来なくなり、ダイレクトジャカードの製作が出来なくなる可能性が高い。新たな設計をし直したり、開発したりすることは、今後の需要を考えると不可能に近い状況にある。数年後には、ダイレクトジャカードの生産が中止され、保守部品の調達も出来ない状況になっていると推測される。

 

4.機料品店について

・機良品店とは、地元の織物に関するあらゆる知識を持っており、織機のメンテナンスをする商売といえる。全国に機料品店が存在するが、横のつながりはほとんどない。

・駒野は、力織機関連のサポートをする機料品店である。現在、メーカー、鉄工所など50社と取引して織機、関連装置、部品等の仕入れを行っている。仕入れ取引先は減少傾向にあり、50社の中には経営者の老齢化により不安定な会社が20社程度ある。京都以外の産地としては、力織機を使用している博多、丹後などの産地にも対応し、機料品の供給、メンテナンスなどを行っている。

・京都には機料品店が10件ほどあるが、教室・学校向けに商売している機料品店も含まれるため、業界向け織機の商売を行っている機料品店は56軒と推測される。

・奄美では、すでに織機メーカーはなくなり、機料品店が2件残っているが、細々と仕事をしている状況であり、やがていなくなる可能性がある。

(有限会社駒野へのヒアリング調査より)

 

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【筬-1】竹筬の状況と復興に向けた活動(日本竹筬技術保存研究会)


 日本竹筬技術保存研究会(通称:竹筬研究会)は、20037月に文化庁の文化財伝統文化課の近藤都代子さんの助言により設立した団体で、もう一度、竹筬を復興するために活動している。

 

竹筬が製作できなくなった直接の原因は、全国の竹筬屋さんに唯一竹筬羽を供給していた岐阜県穂積町(現:瑞穂市)祖父江の日本竹筬工業(代表・豊田亨さん)が竹筬羽の生産を停止し、会社を解散したためである。そのため、全国の竹筬屋さん、実は竹筬の組み屋さんの全てが生産を停止した。

 

 竹筬羽の工程は、大きく分けて、

 

 ①竹材を目的の厚さまで引く(削る)工程

 ②その引いた厚みの竹材を仕上げ削りし、油を引き、焼を含めた仕上げを行う工程

 ③仕上げされた竹筬羽を組む工程

 

3つに分かれており、各工程が基本的には各職人さんの分業になっていた。この②の仕上げ工程をなさっていた唯一人の職人さんである森助一さんの仕事の停止により、日本竹筬工業の竹筬羽生産が停止し、結果、全国の竹筬屋さんの竹筬製造も停止したため、竹筬は入手できなくなった。

 

 竹筬研究会は、この森助一さんの②の仕上げ工程を、日本竹筬工業に残っておられる①の竹を引く工程と③組み工程の職人さんの助言を受け、合わせて①と③の技術も引き継いだ。資金面では芸術文化振興基金の助成金を受けた。

 

 竹筬製作の技術を伝承し、後継者を育成し、もう一度竹筬を復活し、染織をされている方々の要望に応えるべき、月2回の祖父江での会員による研修会を開催している。活動も5年目に入り、現在は自分用の竹筬を製作できる会員が5名となっている。

 

2008年度の目標は、試作竹筬による試織織物展を計画しており、現在、宮古上布、八重山上布、喜如嘉の芭蕉布、志村ふくみさん、郡上紬の方達等の染織家の方々に試織用竹筬を提供しており、すでに試織が終り、織物が拝見できるものもある。最近では、文化庁の近藤さんのアドバイスもあり、久留米絣の松枝さん、小千谷縮・越後上布の試織竹筬も製作中で、一層の竹筬の精度の向上を目指して、会員一同、研修を重ねている。


現在、試作竹筬は、次の3通りの方法で製作している。

 

①合原厚さんによる竹引き・仕上げ・組みまでの全工程をクリヤーして竹筬を製作する方法

②西尾一三さんによる竹引きと仕上げ工程、組み工程は元・筬職人の大橋滋さんによる機械組みをする方法

③今里哲久さんと角浦節子さんによる竹引き工程、仕上げ工程と組み工程は現在金筬業の筬熊リードの小嶋孝幸さんによる方法

 

である。さらに最近は、竹細工の職人・森田英史さんが竹引き工程に参加してくれることとなり、心強く思っている。大橋さんと小嶋さんには古い竹筬の修理と組替えによる再生にも現在は応えてもらっている。

 

 竹筬研究会では、2006年と2007年、沖縄の離島を含めた各織物組合と県の工業技術支援センターで、竹筬の調査と竹筬製作の実技を含めた報告会を開催した。アンケート調査もあわせて実施し、竹筬の需要と価格を含めた要望を得ることができた。それらを出来るだけ多く取り入れ、要望に応えていかなくてはと考えている。ご意見、ご要望をお聞かせ願えれば幸いである。

 

 すでに現在、中国製の竹筬、また日本製の竹筬として「竹筬」が出ていることも認識しており、用途によってはこれらの竹筬で目的を達する場合もあると思われる。しかし、我々竹筬研究会は、出来上がった竹筬で試織していただき、何度かの経過を見て、竹筬の作り手と使い手である染織の方が納得できるレベルの竹筬を提供することが重要で、提供していく体制(生産システムと流通システム)を確立したいと考えている。

 

(日本竹筬技術保存研究会代表 下村輝氏のコメントより)

 

※竹筬研究会の情報は、ホームページ(http://takeosa.blog.shinobi.jp/)と20085月号より発行される[染織インフォα]の偶数月の広告欄に掲載してお知らせする予定となっている。

 

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蒔絵筆-1】蒔絵筆の生産・供給状況(輪島漆器蒔絵業組合)


1.蒔絵筆の製作者

・蒔絵筆の製作者としては、村九商店(村田九郎兵衛)、久野商店(久野稔)、大野久夫、角岡、村田正造など5名程度いる。その他、ぺんてる(株)が輪島漆器蒔絵業組合と共同で人工蒔絵筆を商品化している。久野商店は、陶磁器の上絵付け筆の製作を専業としていたが、30年前に蒔絵筆の製作に取り組んだ。

 

2.最近の蒔絵筆の品質

・最近の蒔絵筆は、昔の筆と比較して、毛とグリップとの間に隙間があり筆の強さが出ないという問題がある。そのため、粘りのある漆を使うことが出来ない。これは、毛を縛る強い天然麻が入手できなくなり、毛を強く縛れなくなっているためである。

 

3.根朱筆の製作状況

・根朱筆の製法に関しては、村九商店がネズミの毛のくせを伸ばすノウハウを有しており、昔は村九商店のみが製作していた。平成14年のNHKの放映後に、蒔絵筆の製作者である大野氏、久野氏から試作品の提供が行われ、その改良に輪島漆器蒔絵業組合が協力を行った。現在は、少量であるが、久野氏、大野氏もネズミの毛を入手して製作を行っている。輪島漆器蒔絵業組合では、久野氏が従来から使用していた根朱筆に近いものを出来るようになったため、組合として取り扱っている。

・根朱筆に使用されるネズミは、ドブネズミとクマネズミである。久野氏の根朱筆では、長良川で少量捕獲できるドブネズミの毛を利用している。11月~1月に取った冬場のネズミの立ち毛を利用する。毛の長い筆を作る場合、10匹のネズミで1本の筆しかできない。大野氏は、研究用に養殖されているドブネズミの毛を入手し利用している。

・根朱筆は高価で、猫毛の筆が2700円程度であるのに対し、3万円以上する。

・蒔絵筆は、水毛がなくなったり、毛の根本に漆が固まったりしたら使えなくなる。寿命は一概には言えないが、月56時間程度使用した場合、4年以上使うことができる。

 

4.ねずみ毛の筆(根朱筆)の良さ

・蒔絵筆は現在、猫の毛を使用した筆が主流であるが、ねずみの毛は猫より一本一本の毛が硬く、描いた後で真っ直ぐになろうとし、毛先がそろってくれる。また、漆を含む量も違う。そのため、1)毛を揃える作業がいらないため作業性が良い、2)粘りのある漆を使って盛り上げた線を描くことができる(立体感のある蒔絵が描ける)、3)一度筆に含ませた漆で長い時間描くことができる、等の利点がある。

・組合では、見本展においてサンプルを置いて根朱筆の普及を進めてきたが、まだ十分な成果を挙げていない。組合では、その理由として、

①長い歳月の間に、代用品として、他の筆に慣れてきた

②根朱筆の良さを知らない。使ったことがない年代層が多くなってきている。

③村九筆と違い他のメーカーの筆に対する不信感

④業界の冷え込みによる購入自粛(価格の問題)

⑤先白筆と、本根朱筆の使い勝っての差

  等があると考えている。

 

5.ネズミの毛の供給者

・ネズミの毛は、動物の毛皮を集荷し販売する問屋を通して筆屋に供給される。問屋は、ネズミを捕獲する人から毛皮としたものを集める。長良川のドブネズミを捕獲する人は、高齢者で、川猟師で仕事のない冬場に仕事をしている。ネズミの捕獲は、県の許可をもらいトラバサミを使用して行う。

 

6.人工筆について

・ぺんてるの人工筆は、ナイロン樹脂製で、平成16年に輪島漆器蒔絵業組合とぺんてる社の協同開発により発売された。現在、これを改良した筆が3種類商品化されている。輪島漆器蒔絵業組合では、従来の蒔絵筆製作技術の保存・継承も重視していることから、これ以上の人工筆の開発には取り組まない方針である。

・人工筆の生産は、1ロット1000本で、少量の個別購入は難しいことから、金粉・金箔業者がPRと販売を行っている。現在、多くの蒔絵師によって使用されている。曲線を描くにはまだ問題があるものの、真っ直ぐな線を描く筆としては十分なレベルに達しているという。

 

村木広幸氏所有の蒔絵筆

村木広幸氏所有の蒔絵筆


(輪島漆器蒔絵業組合村木広幸組合長へのヒアリング調査をもとに作成)

 

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【刷毛-1】漆刷毛の生産・供給状況(九世泉清吉)


1.漆刷毛の製作者

 漆刷毛を製作する漆刷毛師の数は減少を続け、現在は2名のみである。1人は、9世泉清吉氏であり、漆刷毛の製作を専業としている。もう1人の漆刷毛師の詳細は不明であるが、東京で兼業として漆刷毛の製作を行っている。35年前には、関西、新潟、東京等に6名の漆刷毛師がいたが、高齢化、廃業等により減少した。


九世泉清吉

 

2.漆刷毛の需給状況

 漆刷毛は、バブル期の頃と比較して需要は半分程度に減少し、現在の生産量は年間1,000本以内と推測している(泉清吉氏の場合、年間500本程度)。需要先は、広重刷毛店の場合、全体の8割が産地向けで、残りの2割が漆器教室用、手作りの釣り竿、将棋等向けである。

 現在は、産地が要望する漆刷毛をほぼ供給できる状況にあり、供給不足の状況にはないが、かもじを使用した最高級の漆刷毛は、かもじの入手が不可能になったことから、手持ちのかもじが無くなった時点で製作が行われなくなる見込み(34年後)。

 

3.漆刷毛の生産・供給システム

 刷毛に使用される毛髪に関しては、今から156年前頃までは、かもじの収集システムがあったが、需要の減退によって収集システムは完全に崩壊した。今は原料商から中国産人毛を輸入して使用している。

漆刷毛師によって製作された漆刷毛の供給に関しては、以前は、お抱えの問屋(漆問屋)を通して産地の塗り師へ供給されていたが、現在は、問屋の減少(現在はごく少数)等により、漆刷毛師と産地との直接取引が増えている。問屋との取引は50%程度に減少している。

問屋の業態も代わり、最近は洋塗料を扱う問屋がほとんどであり、貸しビル業を営んでいるケースも多い。また、ネット販売が普及し、産地からネットを通して注文が来るようになっている。


図表4-18 漆刷毛の生産・供給システム

漆刷毛の生産・供給システム

 

4.漆刷毛の生産・供給における問題点

 問屋が在庫をもたなくなっている。今から7年前頃(平成12年頃)より、問屋が在庫を持たないようになり、まとめて注文するようなことが無くなった(以前は、5本、10本というまとめ買いであったが、現在は1本単位の注文がほとんどである)。そのため、製作者側が在庫を持たざるを得ない状況になっており、経営上の負担が大きくなっている。

 

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【簀-1】簀桁の生産・供給状況(全国手漉和紙用具製作技術保存会)


1.製作者の状況

 簀の製作者は、静岡県3名(藤波さん夫婦、お嫁さん)、岐阜県3名(伊藤さん、森島さん親子)、福井県2名(尾形さん、辻さん)、鳥取県2名(親子)、高知県3名、愛媛県1名の合計14名程度いる。人材的には心配はない状況にある。

 人材的には、桁の方に問題がある。桁の製作者は、岐阜県1名(庄司さん)、福井県1名(吉田さん、地元に供給)、高知県2名程度である。以前は静岡の藤波さんも桁を製作していたが、現在はあまり製作していない。高知の方は高齢であり、若い人のように仕事を受けることが出来なくなることが予想される。

 

2.簀桁に必要な素材について

 簀編みに使用される生糸の編糸は、岐阜県の森島さんから供給を受けている(福井県では生糸の代わりにナイロン糸を使用しているものが多い)。また、竹ひごは、静岡の竹細工師(大村さん)から供給を受けている。漉桁に使われる金具は、銅棒を加工して作られ、保存会で後継者の育成を図っているが、現状では古い桁から取り外して使用したりすることが多い。

 

3.後継者の育成

全国手漉和紙用具製作技術保存会では、文化庁の助成金により、年間3名を対象に簀桁等製作者育成のための研修を実施している。助成金は、習う人および教える人の人件費、材料費等に使用されている。研修は年間で35日間実施される。保存会では、後継者の育成は、やる気のある人とマンツーマンで育てることが大事であるという考えに立って実施している。

(全国手漉和紙用具製作技術保存会へのヒアリング調査より)

 

※全国手漉和紙用具製作技術保存会

昭和51年に、文化財保存技術保持団体に認定された。現在事務局は高知県手すき和紙協同組合内にある。

 

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